こんにちは、FXBです。
「ファンダメンタル」という言葉を、FXのブログやニュースで見たことがあると思います。
けれども、「実はあまりよくわからない」と感じているのではないでしょうか?
ファンダメンタルは、チャートの形やインジケータを見るのと同じように、値動きの予想に役立つものです。
この記事では、ファンダメンタルについて、以下の4点を解説しています。
- ポイント1.ファンダメンタルとは何か
- ポイント2.為替に与えた影響の具体例
- ポイント3.ファンダメンタルの注意点
- ポイント4.ファンダメンタルの調べ方
今まであまりファンダメンタルを意識していなかった方は、この記事を読んだあとで少し意識してみてください。
ファンダメンタルを意識すると、どうして起きたのかわからなかった、急騰や急落の原因を理解する助けになるでしょう。
FXにおけるファンダメンタルは「経済の判断材料」
ファンダメンタルは、国の経済状況や企業価値を判断するための基礎的な条件、つまり判断材料のことです。
しかしFXにおいて、ファンダメンタルと言った場合は、為替に影響を与える各国の経済状況の判断材料という意味になります。
(ファンダメンタルズとも呼ばれますが、本記事では「ファンダメンタル」で統一します。)
FXにおけるファンダメンタルは「3つの情報」
FXでファンダメンタルといった場合、以下の3つのことを指します。
・経済指標
・金融政策
・要人発言
どれも為替の動きに影響を与える情報で、トレーダーに注目されるものです。
経済指標は、過去のデータからの流れで、将来の経済動向を予測できます。
金融政策は、政策金利など直接為替レートに影響を与える内容です。
要人発言は、確定した指標や政策ではありませんが、今後の展開を予想する材料になります。
3つについて、個別にもう少し詳しく見ていきましょう。
ファンダメンタル①「経済指標」
経済指標とは、国の省庁やその関連機関などが、国内の経済状況を調査した情報です。
毎月や四半期に1度など、定期的に発表が行われています。
経済指標には、どんなものがあるのでしょうか?
たとえば世界経済に大きな影響与える国、米国の経済指標で注目度が高いものに、
・雇用統計
・消費者物価指数(CPI)
・ISM製造業景況感指数
・GDP(国内総生産)速報値
・中古住宅販売件数
・小売売上高
の6つがあります。
このほかにもたくさんの経済指標が発表されていますが、以下の理由から、これら6つの経済指標は、ファンダメンタルを用いるトレーダーからの注目度が高くなっています。
1.トレーダーは、トレードするために為替の変動を予想したい。
2.為替の変動は、今後の経済動向から予想する。
3.今後の経済動向は、過去から現在までの指標結果の変化で予想する。
4.6つの指標は、他の指標より米国の経済状況を反映しやすいと考えられている。
このように一言に経済指標と言っても、トレーダーからの注目度には差があります。今後の経済動向の予想に繋がりにくい指標は、あまり注目されません。
ドル/円やユーロ/ドルなど、ドルが含まれる通貨をトレードする人は、ぜひ上記の指標の名前を覚えておいてください。指標発表時に結果とレートの変動を見てみると、為替への影響の大きさに驚くかもしれません。
ファンダメンタル②「金融政策」
金融政策とは、国の経済が安定して発展できるように、中央銀行がインフレ率などを見て政策金利の上下調整などをする、金融面での施策のことです。
政策金利の変更は、直接的に為替レートに影響を与えます。
政策金利が事前予想より大きく上下した場合や、変わらないと思われていたのに上下した場合、発表直後からレートが大きく動くこともあります。
そのためFXトレーダーは、スワップでトレードしているトレーダーでなくても、トレードする通貨の政策金利には注目しておく方がよいでしょう。
金融政策は、各国で発表されています。通貨取引量の多い米国、ユーロ圏、日本で、金融政策を発表する組織は、以下の通りです。
・FOMC(連邦公開市場委員会)(米国)
・ECB(欧州中央銀行)(ユーロ圏)
・金融政策決定会合(日本)
後述するFXのイベントカレンダーなどに、自分がトレードしている通貨の金融政策発表の予定が入っていたら、発表内容を確認してみてください。
ファンダメンタル③「要人発言」
要人発言は、各国の大統領や首相、金融担当大臣など、その国の経済への影響度が高い人たちの発言です。
その発言自体は、必ずしも具体的な数字や確定した政策内容ではありません。
しかし要人発言は、未発表の経済指標や金融政策に関わる立場の人たちの発言なので、発表前の内容を知りたいトレーダーにとっては、それらの内容を予想する材料として注目されます。
要人発言は、予定された記者会見等で発言されることが多いのですが、予定されていない場でのサプライズ発言をする人もいます。
サプライズ発言としては、米国のトランプ大統領のTwitterでの発言が、わかりやすい例でしょう。
サプライズ発言は、ときに為替に大きな影響を与えます。しかし残念ながら事前に発言されることを知る方法がないため、自分にマイナスになる発言が急に出てこないよう、祈るしかありません。
ファンダメンタルがFXに与える影響
経済指標、金融政策、要人発言といったファンダメンタルが、為替に影響を与えることはわかりました。
それではファンダメンタルが、どのように為替に影響与えるのか、また米国の指標を例にして見てみましょう。
FXへの影響「米国 雇用統計」失業率が悪化した場合
米国の経済指標の雇用統計※が、発表された場合を考えてみましょう。
雇用統計には失業率の数値が含まれます。失業率が前回の発表より高くなっていると、その結果から「米国の景気は悪くなってきているのでは」と考える人が出てきます。
そして為替について、「今後も景気悪化が続いて、ドル安になっていきそうだ」と考える人が増えると、ドルを売ろうとするトレーダーも出てくるでしょう。
トレーダーのドルの売りが増えることで、さらにドル安の動きが加速するため、結果的に失業率の上昇は、ドル安に動く材料になるのです。
もちろん為替レートは、失業率だけで決まっているわけではないので、失業率以外の指標が注目されてトレーダーが経済の先行きに明るい希望や期待を持てば、失業率が前回より上がっていてもドル高の方向に動くことがあり得ます。
とは言え、明らかに景気が後退している場合に、多くの指標で結果の悪化が起こるでしょう。そうなるとトレーダーも弱気になり、全面的にドル安が進む展開が予想されます。
用語解説「雇用統計」
米国の雇用情勢を調べた経済指標のこと。失業率、非農業部門雇用者数をはじめ、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数などの業種別雇用者数、週平均労働時間、平均時給などが米国労働省から毎月発表される。失業率と、非農業部門雇用者数の増減は特に注目される指標の一つで、米連邦準備理事会(FRB)の経済政策の変更にも影響を与える。通常、翌月の第1金曜日に発表されている。
引用元:野村証券 証券用語解説集
FXへの影響「米国 政策金利」金利が上昇した場合
米国の政策金利の上昇が発表されたとします。
ドルより金利の低い通貨を持っている人は、自国の通貨からドルに変えた方がより多くの利息がもらえるため、ドルを買おうとします。
またドルの金利が安いことを理由に、ドルを売って他の通貨を買っていたトレーダーは、ドルの金利が上がることで他の通貨を買うことのメリットが下がり、ドルを買い戻す動きが出ることもあるでしょう。
このように金利の上昇は、ドル高への材料になるのです。
ファンダメンタルから今後を予想する「ファンダメンタル分析」
経済指標や金融政策、要人発言が、今後の経済や為替にどのような影響を与えるか検討することをファンダメンタル分析といいます。
チャートの形やインジケーターを使ってトレードするテクニカル派のトレーダーのように、ファンダメンタル分析の結果をもとに、トレードを行っているファンダメンタル派のトレーダーもいます。
ただし、どちらか一方だけでトレードするのではなく、片方をメインにして、もう一方を補助的に使う場合が多いでしょう。
FXに影響を与えたファンダメンタルの事例
ファンダメンタルズが与える影響について、一般的な例を挙げて説明しました。
以下では、ファンダメンタルの発表の後、実際にあった動きをご紹介します。
2019年11月1日 米国 雇用統計発表時のドル円の動き
2019年11月1日に発表された米国の雇用統計では、非農業部門就業者数※が予想8.5万人増に対し、結果12.8万人増と発表され、前回(9月)の18万人増からは鈍化しました。
用語解説「非農業部門就業者数」
米国労働省が毎月第1金曜日に公表する米雇用統計の指標のひとつで、農業部門を除いた産業で働く雇用者数のこと。前月比でどれだけ増減したかで判断される。失業率と並び、米国の雇用情勢を表す指標として注目度が高い。
農業を除く民間企業や政府機関などの給与支払い帳簿を基に集計されており、家計サンプル調査ベースの失業率に比べ、前月の雇用の動きをいち早く映すとされる。
米連邦準備理事会(FRB)も経済政策の判断材料の一つとして重要視している。
引用元:野村証券 証券用語解説集
市場ではゼネラル・モーターズのストライキや政府の臨時雇用増加の終了などの影響から、8.5万人増までの鈍化を予想していました。しかし予想を4.3万人上回る12.8万人の結果を受けて、労働市場への過度な不安がやわらいだようです。
これにより、FOMC(連邦公開市場委員会)が、金利の引き下げを行わない可能性の条件として挙げた「米国経済が深刻に減速していない」の状況にあると考え、金利の引き下げが当面ないと判断したトレーダーによりドル買いが入り、その他の思惑も絡んでドル円は、一時30銭近くも上昇しました。
FXでファンダメンタルを使用するときの注意点
ファンダメンタルが為替に与える影響は、毎回同じとは限りません。指標の結果が、以前とまったく同じであっても、その時々で異なる為替の動きになる可能性があります。
例えば、以下のような差が毎回あるからです。
・前回の結果との差異の大小
・予想された値からの乖離の大小
・発表時の国や世界の経済状況
・他の経済指標の結果
・市場関係者の心理状態
など。
チャートの形やインジケーターを使っても、今後の値動きを100%予想はできないように、ファンダメンタルを使っても100%予想はできません。過信しすぎないよう注意しましょう。
FXに使えるファンダメンタルの調べ方
多くのFX会社では、経済指標や金融政策、要人発言などのスケジュールを、イベントカレンダーや経済指標カレンダーなどの名称で情報提供しています。指標結果や発言内容などを掲載してくれる会社もあります。
利用しているFX会社のサービス内容を、各社のホームページやトレード用アプリなどで確認してみてください。
FX会社以外では、以下のようなサイトでも情報を確認できます。
検索すると、この他にもたくさん見つかります。自分の使いやすいサイトを探してみてください。
もし発表された内容だけでなく、世界情勢や国の経済状況、他の指標結果などを含めた証券アナリストや経済識者の見解を知りたいなら、金融・経済ニュースサイトが役に立ちます。
「ブルームバーグ」
※会員限定の記事が多いため、会員でないと使いづらい。
こちらも自分が見やすいサイトを見つけておくと、注目される発表の予測や、急騰・急落原因の情報収集に便利です。
FXにファンダメンタルを生かそう
本記事では、ファンダメンタルについてお伝えしてきました。
ファンダメンタルは、為替に影響与える以下の3つの情報でした。
・経済指標
・金融政策
・要人発言
3つの情報から現在の経済状況を把握し、過去からの経緯を踏まえて、今後の経済動向を予想する。そこから為替変動を予想できます。
今までチャートの形やインジケーターだけを使って予想してきたのであれば、ファンダメンタルを合わせて使うことで、より多角的に判断を下せるようになるでしょう。
ご自身が使っているFX会社のホームページや経済ニュースサイトなどでファンダメンタルをチェックして、ぜひ今後のFXトレードに生かしてください。