10分で納得!意外とややこしい円高円安を分かりやすく解説

円高円安 分かりやすく

「円高円安」の言葉はよく聞くけど、なんだか分かりにくいって思ったことありませんか?実は分かりにくいと感じるのには理由があるんです。この記事ではその理由と、今さら聞けないと思うようなことも併せて分かりやすく解説しています。

1.円高円安とは?

日本の通貨である「円」が、世界各国の通貨に対して価値が上がる事を「円高」価値が下がる事を「円安」と言います。

1-1.どうして「1ドル=○○円」で表すの?

一般にテレビやネットなどで報道される円高円安の外国為替情報は、世界の基軸通貨でもあるアメリカの「ドル」に対してのものです。各国にいろいろな通貨がある中でなぜ米ドルなのかと言うと、他通貨に比べ取引高が多く興味・関心のある人が多いためです。

世界の通貨別取引高の割合

現在、世界各国の通貨別取引高は1位が米ドル、2位がユーロ、3位が日本円になっています。

上の図から、米ドルと日本円だけでも半分以上のシェアがある事が分かります。

世界的に見ても主要な通貨と言えるでしょう。

為替情報は「1ドル=○○円」という表記をしますが、これは「1ドルでいくらの日本円と交換できるか」という意味になります。

この場合ドルに対しての円の相場価格を表しているので、数字が大きくなると「円安」、数字が小さくなると「円高」となります。

ドルの価値が上がると円の価値が下がり、ドルの価値が下がると円の価値が上がるという事です。

2国間の通貨の交換取引図1

例えば1ドル=100円から1ドル=120円になったとします。これはドルの価値が上がって円の価値が下がったと言う事です。

反対に1ドル=100円から1ドル=80円になったらドルの価値が下がって円の価値が上がったと言う事です。

なんだか少しややこしいですよね?そう感じさせるのは、表記はドル側なのに呼び方が円側になっているためです。

表記に合った呼び方をするならば、「円安ドル高」、「円高ドル安」とすると少し分かりやすくなるかも知れませんね。

ちなみに円主体の表記をすると・・・。

2国間の通貨の交換取引図2この図の右側のように「1円=○○ドル」となり、数字が大きくなると「円高」、数字が小さくなると「円安」となり、表記と呼び方が一致しているので分かりやすくなります。

もちろんこのような表記はないので馴染みはないと思いますが、この発想を併せて円高円安を考えるとさらに分かりやすくなるのではないでしょうか。

2.円高になるとどうなるの?

では円高になるとどうなるのでしょうか?ここではドルを参考例として解説していきますね。円高はドルを始め世界各国の通貨に対して円の価値が上がる事です。円の価値が上がると、同じ額の円でよりたくさんのドルと交換できるようになります。

2国間の通貨の交換取引図3

例えば10万円持ってアメリカに行ったとします。もちろん日本円のままでは使えないのでドルに交換します。

この時1ドル=100円だったので、1000ドルを手にする事になりました。次にまた別の機会で10万円持ってアメリカに行きました。この時は円高になっていて1ドル=80円でした。

そうすると手にするドルは1250ドルになります。円の価値が上がっているのでよりたくさんのドルと交換できたのです。

2国間の通貨の交換取引図4また1ドル=100円の時に、価格が1000ドルの商品を買うには日本円で10万円が必要になります。しかし1ドル=80円の時には価格1000ドルの商品は8万円で買うことができます。

このように円高になると、海外で恩恵を受ける事ができます。これは海外の製品が安く手に入るという意味ですから、輸入品も安くなるという事です。

同じ額の円でよりたくさん輸入できるので、国内では輸入関連も潤う事につながります。原材料や部品を輸入している企業はコスト削減になり利益が上がります。個人としても安く輸入品を買うことができます。

特に日本では食品を始めかなりの分野で輸入に依存しているので、個人消費においては円高による恩恵は計り知れないでしょう。

3.円安になるとどうなるの?

反対に円安になるとどうなるのでしょうか?

円安はドルを始め世界各国の通貨に対して円の価値が下がる事です。

2国間の通貨の交換取引図4

例えば10万円持ってまたまたアメリカに行ったとします。そして日本円をドルに交換しました。この時1ドル=100円だったので、1000ドルを手にする事になりました。

次にまた別の機会で10万円持ってアメリカに行きました。この時は円安になっていて1ドル=120円でした。そうすると手にするドルは833ドルになります。

円の価値が下がっているので交換できるドルが減ってしまいました。

2国間の通貨の交換取引図5

また1ドル=100円の時に、価格が1000ドルの商品を買うには日本円で10万円が必要でした。

しかし、1ドル=120円の時に価格1000ドルの商品を買うには12万円が必要になります。

このように円安になると、海外においてはこれまでよりもたくさんの円が必要という事になります。これは海外の製品が高くなるという意味ですから、輸入品も高くなるという事です。

そうすると輸入関連は打撃を受け、値上げにより個人消費が落ち込むこともあります。

メリットもあり反対に輸出関連が潤います。日本国内の製品がこれまでよりも安くドルで買えるわけですから、たくさん製品が売れて輸出関連企業は恩恵を受けます。

海外から観光客などが増え、観光業も潤うでしょう。

4.どうして円高や円安になるの?

円が欲しい人が増えると円の需要が増えるので円高になります。反対に円よりもドルが欲しい人が増えると円の需要は減るので円安になります。ただ需要が増えたり減ったりするのには様々な要因があります。

4-1.円高になる主な要因

①輸出

輸出が好調になると、ドルで代金を受け取り円に交換する

②金利

日本の金利が高いと利息を受け取ろうとドルを円に交換して日本の銀行などに預金する

③株価

企業の業績が好調で株価が上がると、日本の株式を買おうとドルを円に交換する

④政治や経済

日本の政治や経済が安定していると、安全な通貨で資産を持ちたい人が円に交換する

4-2.円安になる主な要因

①輸入

輸入が増えるとドルで買うため、ドルが必要になるため円をドルに交換する

②金利

日本の金利が低いとアメリカのドルで利息を受け取ろうと円をドルに交換する

③株価

日本の企業よりもアメリカの企業の方が業績が好調だと、アメリカの株式を買おうと円をドルに交換する

④政治や経済

日本よりもアメリカの方が政治や経済が安定していると、安全な通貨で資産を持ちたい人が円をドルに交換する

このように様々な要因が複雑に影響し合って円高や円安を引き起こしています。

5.さいごに

ここまで円高円安の仕組みを簡単に解説してきましたが、今までよりも少しだけ身近に感じられたでしょうか?

一つ言えることは、為替は意外と私たちの日常に深く関わっているということです。

円高・円安どちらにもメリット・デメリットがあり一概にどちらが得かの判断は難しいところです。

ただ、個人消費の面から見れば輸入品が安く買えるので円高の方が得に感じますね。しかし円安は輸出に有利なので、輸出関連企業は業績が上がりそこで働く社員の給料が上がる事にもつながります。

特に日本全体で見ると貿易黒字の国なので、円安の方がメリットがあるのかも知れません。