FXをこれから始めてみようと思っている人や、すでに始めてみたけど良い結果が出ていないという初心者は、デモトレードから始めると良いです。
一般的にはリアルトレードから始める事が推奨されていますが、ここではお勧めしません。その理由は、初心者はトレード技術が身についていないので勝てないからです。
相場の世界では初心者の90~95%の人が1年以内に退場していると言われています。
運よく勝てることがあっても勝ち続けることができないため、資金を枯渇させてしまう事が退場してしまう原因となっています。
初心者がリアルトレードから始める事は自ら退場へと向かっていく危険行為と言えるのです。ですから初心者はデモトレードから始め、トレード技術を身に着けてからリアルトレードに移行するようにしましょう。
但し、やみくもにデモトレードを繰り返すだけでは全く意味がありません。デモトレードには正しい取り組み方があります。正しく取り組んでいけば、リアルトレードでも結果を出せるようになれます。
これから正しいデモトレードの取り組み方と、リアルトレードに移行するためのルールについて順番に説明していきます。
1.デモトレードの取り組み方
デモトレードは架空の資金のため、負けた時に痛みがないので実力がつかず、意味がないとよく言われています。架空の資金という事に甘んじていい加減なトレードをしてしまう原因は、目的を持って取り組んでいない事にあります。
リアルトレードで勝てるようになるためには、デモトレードに目的意識を持って取り組む事が必要になります。その結果、リアルトレードで勝つための実力をつける事ができます。
これからリアルトレードで勝てる状態を作るために、どのようにデモトレードに取り組んで行けば良いのか順番に説明していきます。
1-1. デモトレードを行う3つの目的
①自分のトレード方法で勝てるかどうかを確認する
FXトレードをただのギャンブルにしてしまう原因は、トレードルールを持たずに何となく売り買いしてしまう事にあります。
トレードルールは複数あり、自分で決めていく必要があります。例えば、
・取引する通貨ペア
・取引する時間帯
・トレードスタイル(1日のうちに決済するデイトレ、長期のスイング等)
・トレードする条件(値動きがどういう状態になったら売買するのか)
・利益確定と損切をどこに設定するのか
このようなルールを決める必要があります。まずは自分の入手した知識と情報を元にルールを作りましょう。
ルールを作ったら、デモトレードで実践し、勝てる方法であるかを確認します。
月単位で利益が出ない状態であれば、ルールを改良していく必要があります。
継続的に月単位で利益が出せるようになるとリアルトレードでも勝てるようになりますので、デモトレードを真剣に取り組んでいきましょう。
②メンタルの基礎を固める
一般的にメンタルという言葉は、人間の精神や心理的な意味を表す言葉として使われますが、FXにおけるメンタルとは、自己管理能力の事を指します。
この自己管理能力で最も重要になるのが資金管理能力です。FXトレードの資金管理において最も重要な事は損切設定を必ずしておく事です。
プロスペクト理論では、人間は損失を確定させることを避ける傾向が強い事が証明されています。このため、損切設定ができない人が多くいるのです。
損切を設定しないことによって起こる最悪の事態は、強制ロスカットです。借金にはならなくても一度に大金を失う事になるので、トレードを続ける事が困難になってしまいます。
ですから、トレードの際には、必ず損切の設定をしておきましょう。
③取引ツールの使い方(注文方法)を覚える
FXトレードの注文方法にはいくつかの種類があります。使い方を知らずにリアルトレードから始めると操作ミスをして誤発注してしまい、損失を出す事になりかねません。
これから基本的な注文方法を説明しますので、実際にデモトレードで注文をして使えるようになりましょう。
ここではMT4=メタトレーダー4を使ってデモトレードを行う事を勧めています。(詳しくは後で説明します)
MT4の注文方法について説明します。
ア)成行注文
成行注文とは、注文を出した時点での価格で売買する注文方法の事です。レートが動き始めた時その場で注文できるので有効に使えます。
イ)指値・逆指値注文
指値・逆指値注文には2種類の注文方法があります。新規の注文をする時に使う場合と、決済の注文をする時に使う場合に分けられます。
新規の注文の場合、現在の価格より上がったら売る注文・下がったら買う注文の、指値注文があります。
もう1つは現在の価格より上がったら買う注文・下がったら売る注文の、逆指値注文があります。
チャートを常に見ていられない時、あらかじめトレード計画が立っている場合に有効に使えます。
決済の注文に用いられる指値注文と逆指値注文は、新規注文の時と言葉は同じですが違う意味で使われます。
すでにポジションを保有している場合、利益確定の設定をするための指値(決済指値)と、損切確定の設定をするための逆指値(決済逆指値)を注文する事ができます。
強制ロスカットにならないために、決済指値と決済逆指値を設定するようにしましょう。
ウ)OCO注文
OCO注文とはポジションを決済する時に使う注文方法で、利益確定(決済指値)と損益確定(決済逆指値)の2つを同時に注文できます。
このOCO注文には2種類あって、1つは成行+OCO注文で、もう一つが決済OCO注文です。いずれも一方の注文が確定したら、もう一方の注文はキャンセルされます。
成行+OCO注文
例えば、現在の価格が1ドル120円の時に、今から買いの成行注文を入れる際、決済指値(利益確定)と決済逆指値(損切確定)を設定しておき、同時に注文する事ができます。決済指値が確定した場合、逆指値注文は自動的に取り消されます。
決済OCO注文
決済OCO注文は、ポジションを保有中に決済の注文をする方法です。利益確定の決済指値と損切りの決済逆指値の2つを同時に注文できます。
ターミナル画面から現在保有中でOCO注文をしたいポジションの注文を右クリックします。
注文変更または取り消しの所をクリックします。
赤枠の中にある決済逆指値と決済指値に数値を入力します。最後に青枠をクリックすると注文が完了します。
エ)IFD注文
IFD(イフダン)注文とは、新規注文と利益確定の指値または、損益確定の逆指値のいずれか1つを同時に予約注文できる方法です。
例えば、現在の価格が1ドル100円の時、99円まで下がったら買いの注文をして101円まで上がったら利益確定するという注文ができます。チャートをずっと見ている必要はありませんが、IFD注文では決済注文で利益確定か損益確定かのどちらか1つしか注文できません。
資金管理で一番大事なのは損切の設定をする事なので、この場合は損切注文(決済逆指値注文)をしておき、利益確定の決済は手動で行うのが良いでしょう。
オ)IFO注文
IFO(IFD+OCO)注文とは、新規注文と決済指値と逆指値注文の3つを同時に予約注文する方法です。
例えば、現在のレートが1ドル101円だったとしましょう。
1ドル100円まで下がったら買い、利益確定の決済注文は102円に設定、損益確定の決済逆指値注文は99円にしようと考えていた場合、3つの注文を同時に出す事ができます。
まとめ
いままでの注文方法を一覧表にまとめました。参考にしてください。
1-2.デモトレードの3つの手順
デモトレードを行うには、デモトレード専用の口座を開設する必要があります。ここではMT4を使用してデモトレードをする事をお勧めします。
MT4(メタトレーダー4)とは、世界で最もメジャーな取引プラットフォームです。PCで使える他に、スートフォンやタブレット端末などでも使えて非常に便利です。
証券会社独自のスマートフォンアプリでも構いませんが、FXの学習をするためにも、パソコンにMT4をインストールして使いながら学ぶのが理想的です。
MT4が使える証券会社は数多くはありませんが、ここではデモ口座が無期限で使えるOANDAの口座を使用する事をお勧めします。
それではデモ口座の開設から順番に説明していきます。
手順1.OANDAのデモ口座の開設をする
ア)パソコンでOANDAのデモ口座を開設し、MT4を使えるようにする
最初にOANDAのデモ口座開設方法を説明します。OANDAのMT4のデモ口座の開設は2段階になっています。最初にデモ口座の開設をし、その後でMT4口座の開設を行います。
①こちらをクリックすると、デモ口座開設フォーム入力画面が表示されます。
https://www.oanda.jp/trade/practice/openaccountv20.do?p=0
入力が必要になるのは、氏名・フリガナ・性別・メールアドレス・電話番号です。
注意する事は、ここで入力したメールアドレスにログインIDとパスワードが送られてくるので、間違いのないようメールアドレスを入力しましょう。
②デモ口座にログインする
IDとパスワードがメールアドレスに送られてきたら、OANDA JAPANのログイン画面から、デモ口座を選択し、IDとパスワードを入力してログインします。
③MT4アカウントを作成する
赤枠の、サブアカウントの作成をクリックします。
④「この口座をMetaTraderで利用可能にする」にチェックを入れて口座名を記入します。
口座名は好きなようにつけられます。
デモトレードでは両建ては使いませんのでチェックは入れません。
任意のパスワードを設定し、記入したら「送信」をクリックします。
⑤赤枠の「こちらをクリック」をクリックします。
⑥画面の下に黄色の「実行」「保存」「キャンセル」のバーが確認できたら「実行」をクリックします。
⑦「はい、上記の全てのライセンス条項に同意します」にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。
途中でこの画面が立ち上がりますが、必要ないので消してよいです。
⑨インストールが完了すると自動的にMT4が立ち上がります。
⑩MT4起動後にこの画面が表示されますが、「キャンセル」をクリックします。
⑪メールアドレスにMT4のIDとパスワードが送付されているので確認します。
赤枠の中にある、IDとパスワードを入力、「ログイン情報を保存する」にチェックを入れてログインします。ログインするとMT4が起動し、使用可能となります。
OANDAのMT4デモ口座の資金は300万円で固定されており、レバレッジも25倍で変更はできませんが、無期限で使用できるため使いやすく、お勧めです。
イ)スマートフォンやタブレット端末にMT4アプリをダウンロードする
次に、スマートフォンやタブレット端末にMT4アプリをダウンロードします。外出してパソコンが使えない時に、スマートフォンやタブレット端末でもデモ口座から注文ができます。
①まず、お使いの端末にこちらのURLからMT4アプリをダウンロードして下さい。ここではダウンロード後の説明をios版でしていきます。
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=net.metaquotes.metatrader4&hl=ja
ios版
https://itunes.apple.com/jp/app/metatrader-4/id496212596?mt=8
②MT4アプリを起動して設定画面を開き、トレードアカウントをタップします。
③「取引アカウントがありません」の表示の上にある「+」部分をタップします。
④「既存のアカウントにログイン」をタップします。
⑤サーバーを入力します。「OANDA」と入力すると、その下にサーバーが沢山表示されます。
MT4口座開設時、OANDAに登録したメールアドレスにIDとパスワード、デモ口座のサーバー選択についての記載があります。
下の図の赤枠の中に、選択するサーバー情報が書かれていますので、そのサーバーと同じものを選択し、タップします。
⑥ログインIDとパスワードを入力し、サインインをタップするとログインが完了します。
手順2.FXの学習をする
FXの学習をする方法は沢山あり、身近な所から書籍・動画・インターネットサイト・メルマガ・ブログ・セミナー・塾などから、数多くの情報を得ることができます。相場の状況を判断できるようになるためにテクニカル分析の学習を最優先にしましょう。
このサイトでは無料で初心者の学習に役立つ記事が沢山ありますのでぜひ活用して下さい。また、学習には必ずチャートを使用しますが、お勧めはパソコンでMT4を使って学習する事です。
証券会社独自のスマホアプリなどのツールが沢山準備されていますが、MT4を使うと、水平線やトレンドラインなどのラインが正確にひけるので学習の上で非常に役に立ちます。
手順3.デモトレードを実践し、手書きで記録を書く
自分の作ったルールを元にデモトレードを行い、記録をしていきましょう。
ここでお勧めするのは手書きで記録をする事です。記録には様々な方法がありますが、できればチャートを画像で残し、手書きで書き込みをする方が良いです。
簡単な例を紹介します。まず、Windows標準キャプチャソフトの「Snipping Tool」でMT4のチャートをキャプチャし、画像をデスクトップに置きます。
そのまま印刷しても良いのですが、筆者は複数のチャートを1枚の用紙に印刷するためにエバーノートを活用しています。
エバーノートのページに、キャプチャした画像をドラッグ&ドロップすると、ノートに画像が貼り付けられます。
すると、下の図の様に書き込みができるように余白をとって印刷する事ができます。チャートにも直接書き込めますし、余白に書き込みができるのでとても便利です。
その他に、画像を残した方が良い理由は決済後にトレードの振り返りがしやすくなるからです。
トレード記録専用のスマホアプリやソフトなど、キーボードで打ち込んでクラウド等に保存する方法が簡単で良いとされていますが、それだとデータは取れますが学習の効果は薄れてしまいます。
紙に書くという行動は、脳幹の毛様賦活系にある多くの細胞を刺激するので大脳皮質に深い注意力を促す信号が大量に送られ、記憶力が上がるのです。考えた事や学んだ事を手書きにする事によって認識力が増大して記憶に残りやすいため、次回のトレードに効果的に生かしていけます。
その他にも手書きにする効果があります。手書で記録する事には時間がかかるため、沢山のトレードをする事ができません。そのためポジポジ病になる事を未然に防ぐ事にもなります。
トレード記録は、次のような内容を書くようにしましょう。
トレードした日時
・通貨ペア
・注文内容(注文レート・買いか売りか・決済指値・決済逆指値をどこに置いたか)
・相場の状況はどんな状況だったか
・トレードした根拠
・結果がどうだったか(利益確定または損益確定・その時のレート・損益pips)
・トレードの反省点
・トレードルールの改善点
・トレードをする前、トレード中、損益が確定した時どんな気持ちだったか(感情の乱れを自覚するために記録します)
2.リアルトレードに移行するための心構えと3つのルール
デモトレードをいつまで続けて行けばリアルトレードに移って良いのか疑問に思う事でしょう。
リアルトレードに移行するためには、一定の水準のトレード技術が身についている事が必要になります。そうでなければデモトレードの経験を沢山積んだからと言ってリアルトレードに移行しても勝てないのです。
これからトレードに向かう際の心構えと、リアルトレードに移行するためのルールについて説明していきます。
2-1.フサイン・ハーネカー氏に学ぶトレードの心構え
フサイン・ハーネカー氏という有名な億トレーダーがいます。
南アフリカの方で、事業に失敗して1文無しになった後、わずか1000ドル(約11万円)を元手にトレードを始め、億万長者になって成功を修めたのです。彼は徹底的にデモトレードを活用していました。それをリアルトレードに生かして億の富を築き上げたのです。
彼が徹底的に守ってきたルールの1つに、デモ口座で3回連続資金を3倍にするまでリアルトレードには決して移行しないというルールがあります。
その他にも、経済指標の時間は絶対トレードをしない・トレードする時間は午前7時~午後6時までにする等、徹底的に決めたルールを守ってトレードする事で億トレーダーになったのです。
これを読んでどう感じたでしょうか。あなたは自分の決めたルールを徹底的に守り、3回連続資金を3倍にでるまでリアルトレードに移行する事を我慢できるでしょうか?
トレードとは本来これくらい厳しく真摯に取り組むべきであると、彼は実際の行動で示してくれているのです。これからトレードを行う時の心構えとして覚えておき、真剣に取り組んでいきましょう。
では次に、リアルトレードに移行するためのルールについて説明していきます。
2-2.リアルトレードに移行するための3つのルール
FX初心者が勝ち続ける事はとても難しい事ですので、次に説明する基準を満たせるようになったらトレードスキルが向上したと判断してリアルトレードに移行する事ができます。
それでは①から順番にルールについて説明していきます。
ルール1.資金を2倍に増やす事
一般的に、口座の資金を2倍に増やせたら、ある程度の実力がついたと判断して良いと言われています。そのため口座の資金を2倍にできる事を1つ目の判断基準とします。
ルール2.月間50pipsの利益を3か月連続で得られる事
トレードの目標は1回1回のトレードで勝つことではなく、月単位での利益をプラスにできるようになる事です。ここでは具体的に月間50pipsを3か月連続で獲得できるようになる事を基準とします。
資金を2倍にできる事、あるいは月間50pipsの利益を3か月連続で獲得できるようになったらリアルトレードに移行できます。
リアルトレードを始めた時に、順調に利益を上げていけるとは限りませんので3つ目のルールを守るようにします。
ルール3.リアルトレードで月間損益がマイナスになった時はデモトレードに戻る事
本番トレードに移行後、1か月単位で損益がマイナスになった時は、翌月から本番トレードをするのを中止し、デモトレードに戻しましょう。
デモトレードに戻ってFXの勉強とトレードルールの改善をしていきましょう。
再び資金を2倍にできるか、月間50pipsを3か月連続で獲得できるようになったらリアルトレードに移行します。
このサイクルを繰り返して、12か月連続勝ちの状態が続けられたら勝ち組トレーダーとしての仲間入りを果たすことができるでしょう。
まとめ
デモトレードの目的は、リアルトレードで勝てるようになるための基礎固めです。架空のお金だから負けても痛くないという気持ちではなくリアルトレードのつもりで取り組む事が大切です。
デモトレードの欠点として挙げられるのは架空の資金である事の他に、約定力やスプレッドの広がりがリアルトレードと異なる点などがあります。
ですが、フサイン・ハーネカー氏が、デモトレードこそリアルトレードで利益を上げられるようになるために徹底的に行うべき事だと証明してくれています。
確固たる根拠に裏付けされたルールを作り、ルール守ってトレードを行っていく事でトレード技術と共にメンタルの基礎も構築されます。
その結果、リアルトレードに移行した後に、デモの時には体験したことのない予期せぬ事態が起こっても冷静に対処できるようになれます。
この記事を読んだら、ぜひOANDAのデモ口座を開設し、FXの学習とデモトレードを行ってみて下さい。