FX初心者がどんなトレードスタイルで始めたらいいか迷ったりしていませんか?そもそもトレードスタイルには大きく分けて4種類ありますが、それぞれ「トレードの保有時間」で区別されています。
保有時間の違いによって、狙う値幅やトレード回数にも違いがあります。このうち初心者に最もおすすめなのが「長期投資」になります。
なぜなら、使用するタイムフレームが月足と週足の2個又はどちらか一方の1個で済むからです。
長期からスイングやデイトレのように短いタイムフレームに向かうほど使用するタイムフレームの数が多くなり複雑な分析を必要とするからです。
そして、長期投資の経験が自然と環境認識の力にもなっていき、この環境認識の力が後々デイトレやスキャルの時に力を発揮します。つまり、デイトレやスキャルで成功する為には長期投資で環境認識の力を培う必要があることになります。
ここではそれぞれのトレードスタイルの特徴と、長期投資が初心者におすすめの理由を解説しています。
1.初心者は長期投資からFXに慣れるべき8つの理由
FX初心者は、慣れるまでは長期投資のトレードスタイルで取引をしていくことをおすすめします。
長期投資は最も保有期間の長いトレードスタイルで数週間から数カ月、または数年までを指します。
なぜ長期投資がおすすめなのか、8つの理由があります。
①チャートなどの為替情報を頻繁に見る必要がない
②余裕をもってトレードできる
③ノイズに惑わされない
④気分や感情にまかせてトレードすることが少ない
⑤利益確定や損切りの設定を頻繁に考えなくてもいい
⑥金利差益からも利益を狙える
⑦スプレッドを気にしなくてもいい
⑧トレードの難易度が低い
1-1.チャートなどの為替情報を頻繁に見る必要がない
長期投資では2~3日に1回確認できれば十分です。状況によっては1週間に1回でも問題ないほどです。
例えば、EURUSDの長期足レジスタンスブレイク後の約4週間の間(A)に買いエントリー。
最大で約1,000pipほど含み益が伸びた約5ヶ月半~6ヶ月半の4週間の間に利益確定をすれば、それほど頻繁にチャートを見る必要はないです。
反対に保有期間の短いトレードスタイルではチャートなどの為替情報を四六時中確認する必要があります。ですから、初心者(将来的に専業として考えていても)の内は副業でする人がほとんどなので、時間的にも本業に影響の少ない範囲でトレードが可能となります。
1-2.余裕をもってトレードできる
数分、数時間の判断の遅れから利益や損失が大きく左右されるようなことがないため、焦ることもなく余裕をもってトレードできます。
例えばEURUSD週足チャートでの買いエントリーする期間はローソク足4本(A)で4週間あります。
利益確定する期間もローソク足4本(B)で4週間あるので考える時間も含めて余裕があります。
1-3.ノイズ(一時的な動き)に惑わされない
相場の大局を見据えた取引をすることになるため、ノイズなどの短期間の乱高下に振り回されることはありません。
例えば赤丸Cのように一時的に下がることはあっても大局の流れはアップトレンドなので、やがて上昇することが多いです。
ですから、大局の流れが変わらない限り惑わされずにトレードをすることが可能となります。
1-4.気分や感情にまかせてトレードすることが少ない
トレードは人がする行動である以上、気分や感情の起伏が常に影響します。なんとか負けを取り戻そうと無理にトレードをしたり、早く稼ぎたくて取引量を一気に上げたりなど自分で自分の足を引っ張ってしまうようなことをしてしまいがちです。
しかし、EURUSDの買いトレードの場合ですとエントリー期間に約4週間と決済期間に約4週間とその間の約5~6ヶ月は監視期間があるので冷静に判断する為の時間は十分にあります。
このように十分に考える時間のある長期投資では気分や感情などの影響は少なく比較的冷静なトレードが可能となります。
1-5.利益確定や損切りの設定を頻繁に考えなくてもいい
一回のトレードにつき、利益確定と損切りの設定も考える必要がありますが、トレード回数が少なければ、設定を考える手間も少なく済みます。
EURUSDの買いトレードの例では含み益は最大約1,000pip以上あります。1,000pip丁度で利益確定したと仮定した場合に要した期間は約6ヶ月半です。
1ヶ月あたりに換算すると約153pipです。 1回のトレードで1,000pip稼ぐより約半年間毎月153pip稼ぐ方が圧倒的に労力が多いはずです。
このように長期投資の方が利益確定や損切り設定の労力が非常に少なく済みます。
1-6.金利差益からも利益を狙える
スワップポイントとは、通貨ごとに発生する金利差から生じる金利差益のことを指します。
この金利差益から年間約5万1千100円前後のスワップポイントが付きます。
内訳は2018年12月時点で調べた高金利通貨で安定した人気がある南アフリカランド円の10万通貨あたりの年間スワップポイントのおおよその金額です。
この通貨の1日あたりのスワップ金利はFX会社によって多少変動はありますが、一番高いスワップポイントが付く「みんなのFX」ですと1日あたり140円です。
140円✕365日=5万1千100円
年間を通して多少の変動がある為に年間約5万1千100円となります。
これは10万通貨あたりの計算なので通貨の保有量によって増減はします。
1-7.スプレッドを気にしなくてもいい
スプレッド(取引時にかかる手数料)は一回の取引ごとに発生します。
当然ですが、取引はスプレッド分の含み損をかかえた状態から始まります。これは取引の回数だけ毎回スプレッド分のリスクを背負うと言う事です。
したがってスキャルピングなどの取引回数が多いトレードスタイルは、ある程度の勝率がないと「スプレッド負け」をしていきます。
反対に取引の回数が少ない長期投資はスプレッドをそこまで気にしなくてもいいことになります。
1-8.トレードの難易度が低い
基本的に保有時間が短いほどトレードの難易度は上がります。なぜなら長期投資ならば月足と週足、せいぜい日足の分析までで済みますが、保有時間が短いと言う事は、より短期足の分析までする必要があり、たくさんのチャートを見なくてはならないからです。
さらにはインジケーターなども絡んでくると分析そのものが複雑になってしまいます。
以上、8つが長期投資をおすすめする理由です。ただ、あくまでもFXに慣れるまでの期間であってその後は自分のライフスタイルや性格、考え方、経験値に合ったトレードスタイルへと移行していくといいでしょう。
2.4種類のトレードスタイル
トレードスタイルは「一回のトレード(ポジションを保有する)にかける時間」で区別されています。
一般的には4種類あります。数秒から数分で行なう「スキャルピング」、数時間からその日のうちに終える「デイトレード」、数日から数カ月かける「スイングトレード」、数カ月から数年単位の「長期投資」の4つになります。
2-1.スキャルピング
エントリーから決済までのトレードにかける時間は数秒から数分になります。
狙う値幅は5~20PIPSくらいです。1回のトレード時間が非常に短いため、チャンスがあれば1日に何度もトレードをすることができます。
1分足や5分足などの短期足を監視する必要があり、一日中チャートに張り付いていないといけません。
また、スプレッド(手数料)が少ない通貨ペアがねらい目になりますが、これらは総じてボラティリティ(値動きの変動幅)が狭い通貨ペアに絞り込まれます。
このためしっかりとした相場観に加え、正確な判断力や集中力が求められます。このことから初心者よりも中・上級者の方が多いトレードスタイルになります。
2-2.デイトレード
トレードにかける時間は数時間から1日以内になります。
基本的にはその日のうちに決済することが多くなります。狙う値幅は30~50PIPSくらいです。スキャルピングに比べるとチャンスは減りますが、1日のトレード回数は0~2回ほどです。
その分余裕をもってトレードに取り組むことができます。とは言っても一日に数回はチャートを見る必要があるので、本業が忙しい時期などはなかなか厳しいこともあります。
2-3.スイングトレード
トレードにかける時間は数日から数週間になります。
狙う値幅はおおよそ100PIPS以上です。トレード回数は週に1回あるかないかくらいです。
トレード回数が少ない分、チャートを分析、監視する時間もスキャルピングやデイトレードと比べるとぐっと少なく済みます。
2-4.長期投資
トレードにかける時間は数週間から数カ月、または数年にも及びます。
値動きによる為替差益はもちろんですが、長期間保有するほどうま味がある金利差益なども狙えるトレードスタイルです。
トレード回数が少ないので本業に影響を及ぼすことは少ないでしょう。
3.まとめ
FXを始めた頃は、早く稼ぎたくて短期トレードに走りがちです。しかし初心者が最初からスキャルピングやデイトレードでいきなり稼いでいけるほどFXの世界は甘くありません。
長期投資から勝てるようになることが正しいトレーダーの成長の仕方です。ですから長期投資から始めて正しい努力を続けて次にスイングやデイトレなどにステップアップしていけば着実に結果を出せるようになります。
「急がば回れ」の言葉通りにトレードも安全確実な遠回りを行くほうがかえって得策だということです。