FXをやっている人が必ず目にするローソク足チャート。見た目はシンプルですが、実はものすごく奥が深いって知っていましたか?なんとなく理解しているだけでは、トレードに活かす事は難しいし何より非常にもったいないですよ。正しいチャートの見方を身に付けて大事な資金を守りつつ、増やしていこうではありませんか。オススメのエントリー手法まで紹介しているので、是非自身のトレードライフのステップアップに使ってください。
1.ローソク足チャートの見方
チャートにはバーチャート、ラインチャート、ローソク足チャートの3種類がありますが、ここではローソク足チャートに絞って解説をしていきます。ローソク足チャートは比較的ポピュラーで分かりやすく分析がしやすいため、初心者から熟練者まで幅広く使われているからです。
1−1.ローソク足から分かる情報
まずはローソク足チャートの最小単位であるローソク足一本から分かる情報を正しく理解する必要があります。そもそもローソク足とは、ある一定の時間軸の中の値動きをローソクに似た形で表示したもので、一本で始値(はじめね)、終値(おわりね)、高値(たかね)、安値(やすね)の情報を知ることができます。
例えば、1時間のローソク足だと、1時間分の値動きを知ることができます。
始値、終値、高値、安値を総称して四本値と呼びます。実態(本体)から高値までを上ヒゲ、安値までを下ヒゲと呼びます。始値より終値が高ければ陽線(ようせん)、始値より終値が安ければ陰線(いんせん)になります。ここでは、陽線を青色、陰線を赤色で表示しています。ちなみに始値と終値が同値の場合は十字線になります。
これは1時間足のチャートで、1本のローソク足が1時間分の値動きを表しています。1時間なので24本で1日分という事になりますね。
1-2.ローソク足の種類
ローソク足は、単体の一本でもその形によって相場の状態をある程度把握する事ができます。
これは本体部分に対して上下のヒゲが長く、売り方と買い方が激しくせめぎ合って拮抗している時に出現します。
こちらはコマ足ではありますが、大きく買われた(または売られた)後に再び値を戻しているので、相場の反転時によく出現します。
これは売り方と買い方のせめぎ合いに決着がついた時に出現します。チャート内のローソク足の中でも、特に本体部分が長いものを指します。大陽線(だいようせん)なら買い方優勢、大陰線(だいいんせん)なら売り方優勢と判断できます。
もちろん出現する場所によって意味合いは多少変わりますが、これらのローソク足の形状と特徴を知っておくだけでも、相場を判断する時の材料になります。
2.ローソク足チャートを見てできるようになること
次にローソク足が連続で表示されたチャートを使って、「何ができるようになるのか」を解説します。
2-1.ダウ理論を使ってトレンド判断ができるようになる
ダウ理論と言うテクニカル(相場の分析方法)を使ってトレンドの判断ができるようになります。トレンドの判断ができるようになると、今現在の相場において買いが優勢なのか、売りが優勢なのかが分かるようになります。それによって相場の流れに沿った、より安全なトレードプランを立てる事ができるようになります。
詳しくは「FXで安定的な「勝ち」を手に入れるために勉強すべき4つのポイント」のダウ理論の章で解説していますので、そちらを参考にしてください。
2−2.チャートパターンが分かるようになる
チャートパターンと言われる、ある一定の波形を認識する事ができるようになります。
2-2-1.チャートパターンとは?
チャートで描いた波形を、図形のように認識したものです。いくつかの種類があります。
2-2-2.なぜチャートパターンが必要なのか
後述するライン付近でチャートパターンを形成した時、相場が一定の方向へ向かう確率が高くなるからです。その為、チャートからパターンを見つけ出す事が重要になってきます。ただ、ダウ理論での波形の描き方と同じで、パターンの認識の仕方にも正解はありません。従ってこれから紹介するパターンをチャート上で認識できるようになるためには、ある程度の慣れが必要となります。自分だけのパターン認識ができることが何より重要だからです。チャートパターンは大きく分けて7つあります。
2-2-3.ダブルトップ、ダブルボトム
これは二つの山(または谷)を形成した後、下降(または上昇)して行く反転系のパターンになります。一度価格が下げ止まった(または上げ止まった)部分をネックラインと言い、このラインを超えたらパターン完成という考え方をします。
実際のチャートだとこのような認識になりますが、あくまで参考例ですので人によって違っても問題ありません。ポイントは、二つの山(または谷)とネックラインが自分の中で認識できることです。ただ、ネックラインを超えるまではパターン完成ではないので注意してください。「ネックラインを超える」とは、ネックラインをローソク足の終値で超えるという事です。
2-2-4.ヘッドアンドショルダー、逆ヘッドアンドショルダー
文字通り、人の頭と肩からイメージした形でこちらも反転系のパターンになります。3つの山(または谷)のうち、真ん中が少し大きいのが特徴です。肩と頭の境目の、価格が折り返した部分がネックラインになり、このラインを超えたらパターン完成です。ネックラインは候補が2つありますが、より深い位置で折り返している方を選びます。
実際のチャートだとこのような認識になります。ポイントは、漢字の「山」のような形とネックラインが認識できることです。ここでも自分だけの判断ができれば問題ありません。
2-2-5.ボックス圏、ペナント
方向感がなく相場がもみ合っている時に形成するパターンになります。ボックス圏は横ばいでもみ合っているのに対し、ペナントは高値と安値の距離が段々と縮まって来ているのが特徴です。どちらも枠を超えた時、価格が一気に動き出す傾向があります。これらはネックラインがないので、パターン完成の決まりもありません。
実際のチャートだとこのような認識になります。ポイントは、外側の高値安値をおおまかに線で結ぶことです。もし他のパターンに見えるなら、そちらで認識しても問題ありません。
2-2―6.N字
波形がアルファベットの「N」の字に見える事からN字と呼びます。そもそも波形自体がN字の連続で構成されていますが、ここでのN字は後述するライン付近でのN字に絞って考えていきます。
実際のチャートだとこのような認識になります。ここではチャートパターンの1つにN字があるという理解があれば十分です。
ここまでに紹介したパターンには、大きさや形に細かい決まりはないので、ある意味自由に認識する事ができます。従ってそれぞれのパターンの特徴が最も出ていると思うものを選択することをおすすめします。
このようにチャートパターンは相場がこれから大きく動こうとする時のシグナル(合図)として形成する事が多いので、パターン認識が慣れてくると、近い将来の値動きが自然とイメージできるようになります。
2−3.酒田五法を使った判断ができる
2-3-1.酒田五法とは?
ローソク足チャートの生みの親とされる本間宗久(江戸時代の相場師)と言う日本人が作り出したチャート分析法になります。ローソク足の並び方に主眼を置いた分析法で、名前にもあるように5つの種類があります。
2-3-2.なぜ酒田五法を使うのか?
市場心理と言うのは、世界的・全時代的に見ても普遍的な部分が多く、江戸時代に作られた分析法であるにも関わらず現代においても十分に応用が可能だからです。現在は株式の世界でよく使われていますが、FXでも同じように使用できます。ただ、酒田五法は多種多様な上、FXには若干不向きな判断基準もあります。従ってここではFXでも使いやすいオススメに絞って紹介をしていきます。
2-3-3.はらみ線とつつみ線
相場が反転する時によく出現するローソク足の組み合わせになります。
大陽線の後に本体部分が小さい陰線が出た状態です。または大陰線の後に本体部分が小さい陽線が出た状態です。これらは大きく値が動いた後にもみ合っているため、相場が反転する時の兆しとして判断する事ができます。
コマ足などの短いローソク足の本体を包むように大陽線・大陰線が出た状態です。売り買いが拮抗しもみ合った後に、決着がついて一気に値が動いたので相場反転のサインとして判断する事ができます。
2-3-4.「宵の明星」と「明けの明星」
はらみ線とつつみ線が続けて出た状態です。相場反転のサインが重なっているので出現する場所によっては、より信頼度の高いサインとして判断する事ができます。日没のイメージから「宵(よい)の明星(みょうじょう)」と呼びます。
宵の明星と逆で反転上昇のサインになります。こちらも相場反転のサインが重なっているので出現する場所によっては、より信頼度の高いサインとして判断する事ができます。明け方のイメージから「明け(あけ)の明星」と呼びます。
酒田五法からは以上がオススメのローソク足の組み合わせとなります。
2−4.ラインが引けるようになる
チャートを見てラインを引く事ができるようになります。
2-4-1.ラインとは?
水平に引くラインの事を言います。サポートライン(下値支持線)とレジスタンスライン(上値抵抗線)があります。サポートラインを超えるとそのラインはレジスタンスラインになります。逆にレジスタンスラインを超えるとそのラインはサポートラインになります。この事を「サポレジ転換」と言います。
2-4-2.なぜラインを引くのか?
ラインはチャート(市場価格)に引くので客観的な事実であり、非常に信頼度の高いテクニカルになるからです。またトレードには必須とも言えるテクニカルで、チャートを見る上で最も重要なものであると言っても過言ではありません。
2-4-3.ラインはどこに引くのか?
「市場価格が折り返した場所」と「節目になった場所」に引きます。具体的には、
①チャートで目立つ高値安値
②ローソク足の四本値(始値・終値・高値・安値)
③チャートパターンのネックライン
④押し安値、戻り高値などの高値安値を更新した起点
大きく分けるとこの4つに分類されます。これらは、「なぜそこにラインを引いたか」と言うラインを引く時の根拠(理由)になります。もちろん、全てに引いてしまうとチャートがラインだらけになってしまうので、重要度の高いラインに絞っていきます。重要度の高いラインとは、①~④のラインを引くための根拠がより多く重なるラインになります。
これは①の目立った高値安値に引いた状態です。この引き方が一番シンプルですが、これだけですと根拠が少ないため、他にもラインがある時は重要度が低くなりやすいです。ただ、過去最高値や過去最安値などの場合は、それ自体が強い根拠になるため重要度は高くなります。
これは②のローソク足の4本値に引いた状態です。このラインは月足・週足・日足に引く事をおすすめします。なぜなら世界中のトレーダーが必ず見るラインでもあり、意識されやすいからです。従って、より効果的なラインの引き方と言えます。
これは③のチャートパターンのネックラインに引いた状態です。ネックライン以外にもボックス圏の上限や下限にもラインは引けます。
これは④の押し安値、戻り高値などの高値安値を更新した起点に引いた状態です。単純に高値安値を更新しただけの起点でも引けます。ただ、押し安値、戻り高値の方が根拠としては強いです。その他に、パターン完成のネックラインを超えたら、その起点となった高値安値にも引けます。
これは根拠が多く重なるラインの例です。ローソク足の安値であり、ヘッド&ショルダーのネックラインであり、押し安値でもあります。このようなラインは、より重要度の高いラインであり、優先的に引くラインと言えます。
ここで紹介したラインを引く場所というのは、相場において売り買いの攻防の決着がついた場所でもあり、今後トレーダーに意識されやすい場所になります。意識されやすいという事は、トレンドの発生・崩壊やチャートパターンが形成されやすいという事です。そしてこのトレンドの発生・崩壊やチャートパターンの事を「プライスアクション」と呼びます。
2-5.ラインとプライスアクション
ラインが意識されているかどうかは、プライスアクションの有無で判断します。そしてラインに対してのプライスアクション形成には3つのタイミングがあります。
ラインで反発する「反転」、ラインを抜ける「ブレイク」、サポートラインとレジスタンスラインの機能が入れ替わる「サポレジ転換」の3つのタイミングです。これは下落時の図ですが、上昇時も呼び方は同じになります。
こちらは上昇時の図です。プライスアクションを認識した時、これらの3つのタイミングのどれに当てはまるかが分かっていると、スムーズに環境認識が進みます。
2-6.ラインの削除
ラインが意識されているかどうかは、プライスアクションの有無で判断しますが、無い時は引いたラインを削除します。
ラインに対して「行って来い」の状態になったら、意識されていないと判断します。一回目のブレイクでは削除しません。戻って来た二回目も素通りしたら削除になるので気をつけてください。ここでもラインを超えたかどうかはローソク足の終値で判断します。
初めは時間がかかると思いますが、引けるラインはまず全て引く事をおすすめします。いろいろなチャートを見てラインを引いていく内に、より重要度の高いラインだけを引けるようになって行くからです。
このようにラインを引く事によって、チャートのどこに注目したら良いのかが分かるようになります。
3.実践的なチャートの見方
チャートを見て相場分析ができるようになったら、次に実際のトレードではどのように活用したら良いのかを考えるようになると思います。ただトレード手法は無数にあり、どの手法がいいのか悩む上、個人によっては好き嫌いや相性の良し悪しもあります。従ってここでは比較的シンプルで代表的な手法に絞って紹介していきます。また、エントリーと同時に損切りと利益確定の注文も入れる事を強くお勧めします。特に損切り注文は一気に身を亡ぼす事に繋がりかねないので、忘れずに入れてください。基本的に損切りはエントリー根拠の崩れる所、利益確定は直近のラインまでとしていますが、繰り返しトレードをしていく中で自分に合ったものにシフトして行けばOKです。
3-1.高値・安値を超えたらブレイクエントリー
ダウ理論のトレンド判断ができる人なら誰でもすぐにできるエントリー手法です。
アップトレンド継続中に高値を更新したローソク足の終値が確定したら買いエントリーをします。アップトレンド継続がエントリー根拠なので、押し安値の少し下に損切りを置くのがセオリーになります。利益確定は直近のレジスタンスラインが理想なので、狙う値幅に対して損切り幅が大きすぎる場合は、エントリーを見送る事も重要です。
ダウントレンド継続中に売りエントリーを検討する時も考え方は同じです。安値を更新したローソク足の終値が確定したら売りエントリーをします。戻り高値の少し上に損切りを置き、直近のサポートラインでの利益確定を目指します。このブレイクエントリー手法ですが、上位の時間軸など複数のタイムフレームでトレンド方向が重なっている時の方が機能する可能性が高くなります。
3-2.コマ足包み線の組み合わせでエントリー
引いたラインに対して、反転系のプライスアクションの一つであるコマ足つつみ線が出現したらエントリーする手法です。
つつみ線であるローソク足の終値が確定したらエントリーします。またはつつみ線の安値を超えてからブレイクエントリーします。この場合、損切りはローソク足高値が高い方の少し上に置きます。利益確定は直近のラインまでが目標となります。ここでも狙う値幅に対して損切り幅が大きすぎる場合は、エントリーを見送る事が重要になります。
3-3.チャートパターン完成でエントリー
引いたラインに対してチャートパターンが完成したらエントリーする手法です。
3-3-1.ダブルトップ・ダブルボトム
ダブルトップはネックラインを超えたらパターン完成となるので、ネックラインを超えたローソク足の終値が確定したらエントリーします。損切りはパターンの高値の少し上に置き、利益確定は直近のサポートラインとなります。
ダブルボトム完成時も同じ考え方で、ネックラインを超えたローソク足の終値確定でエントリーします。損切りはパターンの安値の少し下に置き、利益確定は直近のレジスタンスラインとなります。注意点として、ラインに対してのプライスアクションなのかどうかは、パターンの一部(高値のヒゲからネックラインまで)がラインにかかっているかどうかで判断します。
3-3-2.ヘッドアンドショルダー・逆ヘッドアンドショルダー
ダブルトップ・ダブルボトムと考え方は同じでネックラインを超えたローソク足の終値確定でエントリーします。損切りもパターンの少し外に置き、利益確定は直近のサポレジラインとなります。
3-4.N字のサポレジ転換を確認でエントリー
ここまでラインブレイクエントリーをメインに紹介しましたが、N字はラインに対してのサポレジ転換を狙ったエントリー手法になります。市場価格はラインをブレイクした後、一度戻って来て再びブレイク方向に伸びるという値動きのレジサポ転換のタイミング(2-5参照)があります。このラインに戻って来た時に反転パターンが出たらエントリーする手法です。
これは押し安値ラインに対してN字のサポレジ転換を狙ったもので、市場価格がラインに戻って来てコマ足つつみ線が完成したらエントリーします。損切りはローソク足高値が高い方の少し上に置き、利益確定は直近のラインまでが目標となります。
これはダブルトップネックラインに対しての、N字サポレジ転換を狙ったもので、コマ足つつみ線完成でエントリーします。同じように、損切りは2本のローソク足高値が高い方の少し上に置き、利益確定は直近のラインまでが目標となります。二つとも売りエントリーの例ですが、買いの場合も同じ考え方をします。反転サインはコマ足つつみ線だけでなくチャートパターンでも全く問題ありません。
以上が代表的なエントリー手法になります。ちなみにどの通貨ペアでも、どのタイムフレーム(時間軸)でも同じ考え方をしていきます。
3-5.最後に
「100%勝てる手法」というのは世の中に存在しません。手法はあくまでエントリーのきっかけに過ぎず、エントリーに至るまでの背景(条件や根拠の数と質)が大変重要になってきます。言い換えると、いかに有利な相場環境下でエントリーするかがカギとなります。FXで稼ぐには勝てるタイミングまで待つ精神力も重要です。(関連記事:FXで勝てるメンタルの鍛え方|30年以上の経験でわかった真実)従って、正しいチャートの見方を身に付けたら、相場環境を正確に把握する力を身に付ける事が次のステップとなっていくでしょう。