FXでスキャルとかスキャルピングと呼ばれるトレード方法が存在します。
このスキャルピングトレードとは1回のトレードで狙う値幅が0.1PIP以上から10PIP前後で損切り幅も約5PIP以内。保有時間は数秒から数分という短い時間の間に1回のトレードを完了するトレード方法のことを言います。
世間では短時間で簡単にさくっと稼げるというようなイメージがあります。しかし、初心者にとっては実は非常に高いレベルのトレード方法なのです。
ここではfx初心者はがスキャルピングに手を出さない方が良い3大理由について詳しく紹介していきます。
*PIPとは=呼び方は、ピップと呼びFXで採用している最小値幅単位の事です。
具体的にはドル円の0.01円=1PIPになります。
1.FX初心者にとってスキャルピングがお勧めではない3つの理由
1-1.スキャルピングトレードは複数の時間足を駆使。
FX初心者にとっていきなり複数の時間足を駆使するトレード方法は難しいです。
具体的に上図にあるようにスキャルピングトレードは日足、4時間足、1時間足、15分足、5分足、1分足の6個の時間足を全て同時に分析して判断する必要があるからです。
初心者にとってはかなり高いレベルの分析です。
つまり、かなりのトレード熟練者でなければこのような高度なテクニカル分析を駆使することは難しいです。
1-2. スキャルピングトレードは高勝率を求められる
スキャルピングトレードは少ない値幅を狙うという性質上、高勝率のトレード成績を維持しないと破産してしまいます。
FX初心者がいきなり高勝率のトレードを実現するのは難しいです。
では、いったいどの位の勝率が必要でしょうか?
下図はバルサラ破産率の表で損益率とトレード勝率から破産の確率を表にしたものです。
勝率=勝ちトレード回数÷総トレード回数
損益率=平均利益÷平均損失
一般的にスキャルピングトレードの損益率(平均利益÷平均損失)は1前後になるスタイルが多いです。
損益率1の場合、トレード勝率が80%以上でないと破産率が0にはなりません。
FX初心者が年間通してトレード勝率80%以上を維持するのはかなり難しいです。
このように損益率の低いスキャルピングトレードは常に高勝率を維持しないと破産してしまう確率が高くFX初心者にとってはかなり高いハードルと言えます。
1-3.スキャルピングトレードは即決の判断力が求められる
トレード初心者が利益確定と損切りの位置を即決できるでしょうか? 結論として無理なケースが多いです。
なぜなら、スキャルピングトレードは、数秒から数分で1回のトレードが完了するケースが多いので即決の判断力が求められるからです。
チャートの動きが初心者の予想通りの動きだった場合、初心者の傾向としてもっと値が順行するのではないかと思い利益確定を遅らせてしまう傾向があります。
しかし、一時値が伸びて順行したとしても、その後一気に逆行して大きな含み損をかかえてしまうケースが多いです。いわゆるコツコツドカンタイプです。
損切りの位置も判断が遅れた為にいつかは戻るだろうと我慢した為に含み益がどんどん大きくなり耐えきれなくなり資金の限界で損切り。 あとからチャートを見るとそこが天井または底だったというケースも少なくありません。
つまり、初心者にとってスキャルピングトレードに必要なスキルを持ち合わせてないことが多いという理由からFX初心者はスキャルピングトレードには向いていません。
2.FX歴1年未満の500人にスキャルピングの成果を聞いてみた結果
実際にFXを初めて1年未満の方500人にアンケート調査をしてみました。(当社調べ)
その結果、スキャルピングトレードで1ヶ月間トータルの成績が100PIP以上プラスになった月があると回答した方は一人もなく、若干のプラスだったと回答された方が2名という結果で残りの90%以上はマイナスの成績でした。
3.初心者がスキャルピングトレードに手を出して失敗した体験談
下記の文章は実際に初心者がスキャルピングトレードに手を出して失敗してしまった体験を本人から私にメールで送られてきたメール文章です。3名の方のメールを紹介します。
3-1.一人目Nさん
おはようございます、Nです。
今日は 新たに学習したことをアウトプットさせてください。
資産管理の話です。
先日、先生とスカイプをさせていただいたときに2週間でデモ口座の100万円が、なくなったことを伝えました。
なぜ そうなったのか 自分でも不思議だったのですが「バルサラの破産確率」を知りました。
私は 今まで自分のおこずかいの範囲で楽しんでいたので負けても そんなに落ち込むこともありませんでした。
でも これから大きなお金を相手に投資計画を立てる若い人たちにとっては、一番最初に知っておかなくてはいけないことです。
スキャルピングは、獲得Pipsが少ないのでどうしてもロットを上げて利益を伸ばす必要があります。
勝率が抜群に良ければ問題はないですが そうでない場合 メンタルが崩れてあっという間に資金が減ってしまいます。
海外口座は、ハイレバで おまけに ボーナスキャンペーンといって入金すると資金を倍にしてくれるところもあります。
経験が少ないにもかかわらずお金を増やしたい欲求が大きいと資金が倍になることにより 気持ちも大きくなってロットを増やし、結局原資を減らし続けることになりかねません。
このあたりがFXの怖いところだなあと改めて感じました。デモ口座でなかったら・・・と思うとぞっとします。
どこのセミナーでも資金管理のお話は少ないですが、大切って思いました。
私の意見
トレードは自分の身の丈に合った資金管理の元でロット調節しなければいけません。トレード回数が増えるほど資金管理の計算も大変です。
3-2. 二人目Hさん
私がスキャルピングに手を出して酷い事になってしまった失敗談
・初心者なのにスキャルピングに手を出してしまったきっかけ
FXを始めて間もない頃はビギナーズラックで買っても売っても勝てたので、FXは超簡単だと思い込んでいました。
その頃の私は書店の本やネット上の様々な記事、YouTube動画で情報収集していました。
「短時間でサクッと、毎日20Pipsの利益を上げる!」
というキャッチフレーズに惹かれ、複利で利益を増やせばすごいことになると想像して、お金持ちになるという欲が膨らんでしまいました。
どうせなら早く、より多く稼ごうと考えたのがスキャルピングに手を出したきっかけでした。
・スキャルピングの内容
1分足と5分足チャートを使ったもので、
利益確定も損切りも一律20Pipsにしていました。(負ける想定は全くありませんでした)
① 本やネット上で紹介されている短期足トレード手法を真似して片っ端から試す
② 証券会社の予測ツールにある売買のシグナル通りにエントリーする
③ ライブ配信を見て、配信者と同じ方向にトレードをする
④ 飛び乗りでエントリーする
(経済指標、突然起こる急騰急落、東京時間仲値や欧州時間初動の素早い動きにつられてエントリーする)
・スキャルピングの結果どうなったのか
なぜこんなにもスキャルピングを色々試したかといえば、勝てなかったからです。
最初は慎重に本を読んだりしてトレードしていましたが、3連敗もすると、気持ちがイライラし始めました。
10連敗で、手に握っていた料理用のボウルを思いっきり床に投げつけて、床に大きな傷を作ってしまいました。
損失を取り戻そうと躍起になり、寝る時間以外チャートに張りついて、損切りされた瞬間、ドテンをするようになりました。
ところが、ドテンを何度繰り返しても全く勝てないと分かると、今度は損切りにならない様に、損切り設定をする事をやめてナンピンをするようになりました。
その結果は酷いもので、ナンピンしては強制ロスカットになり、気持ちが落ち着かず眠れなくなり、精神的に参ってしまいました。
その上、さらに良くない事をやっていました。
1日20Pips利益を上げようと考えていた私は、
1万通貨でトレードしても利益は2000円にしかならないので少ないと思いました。
10万通貨なら毎日2万円儲かる!と思い、大きくロットを張ってエントリーをしてしまいました。
何のトレード技術も持たない初心者の私が、大きなロットを張ってのトレードを繰り返して大金を失い、トレードが続けられなくなりました。
・スキャルピングで大きな損失を出した後に招いた更なる悪循環
スキャルピングに挫折し、裁量トレードなんか無理だと思った私は、自力で稼がず機械任せにしてしまえば精神的にも楽で良いだろうと安易に考えるようになりました。
その結果、借金までしてシストレに手を出すという更に悪い方向に向かっていったのです。
何も正しく学んでいない初心者の自分が欲に目がくらみ、
スキャルピングに走った事で精神的にも、金銭的にもとても悪循環が生まれました。
これが私のスキャルピング失敗談です。
私の意見
何事も基礎が大事ですがその基礎が出来ていない段階で高いトレードスキルを要求されるスキャルピングトレードに手を出してしまったのが一番の敗因です。 まずは、テクニカル分析の基礎から取り組みましょう。
(関連記事:FXの危険性と借金のリスク・FXの借金・自己破産の回避する鉄則)
3-3.三人目Sさん
FXで手っ取り早く稼ぎたい!しかも時間をかけず短時間で、これが私がスキャルピングをやろうと思った理由です。
主に21時から翌日2時、1日20回から50回、1~5pips抜きを繰り返します。
勝率は6割前後です。
指標発表の時間や要人発言の多い時間と重なるので、運が良ければ10~30pips抜けたりしますが、当然逆もあるので、コツコツドカンになることもあります。
加えて、理由がわからない急な値動きに巻き込まれることも多々あります。
1年やってみた結果と分かったこと。
良かった事
年間収支はプラスでした。
毎日チャートを見続けていたことで相場の流れが読めるようになってきました。
悪かった事
著しく視力が低下しました。
腱鞘炎になりました。
慢性的な寝不足です。
相場に張り付いていないといけないので非常に疲れます。
相場の値動きに左右され感情的になることがあります。
超短期売買は心臓に悪いと思います。
業者に払っているスプレッッドが膨大なことに気づきました。
など、個人的にはメリットよりもデメリットの方が多いと感じました。
以上の結果から、スキャルピングは割に合わないという結論に至りました。
現在は1から勉強をし直して、デイトレに移行中です。
私の意見
トレードとうまく付き合っていく為には自分の生活スタイルに合ったトレードスタイルを構築する必要があります。
これからは、このような点も考慮したデイトレードスタイル構築をお勧めします。
4.スキャルピングトレード可能レベルテスト
これが出来なければスキャルピングは不可
4-1.これから実際にあなたがスキャルピングトレードが可能なレベルかどうかを判定するためのテストをおこないます。
上図のチャートは上段がNZDUSDの5分足チャート、下段がNZDUSDの1時間足チャートです。
この状態であなたならどうしますか?
A すでに買いで入っている
B すでに売りで入っている
C 様子見
Aと回答した方は、エントリー位置、利益確定位置、損切り位置が決まっていますか。
Bと回答した方は、エントリー位置、利益確定位置、損切り位置が決まっていますか。
様子見と回答した方は、今後どのようになればエントリーを検討しますか。それは買いですか? 売りですか?
考える時間は1分間です。
1分以内に考えがまとまらなければ、あなたはスキャルピングのように即決判断を求められるトレードスキルのレベルではありません。
4-2.テスト問題の解答
Cの様子見というのも一つの方法ですが積極的に入るのであればBのすでに売りで入っているが解答です。
判断の順序
ア)1時間足を見ると赤矢印のように下降の傾向が強いのでエントリーするのであれば売りで入るのが妥当です。
売りで入る場合、2箇所のポイントがあります。
イ) 図中のD前日安値ブレイクポイント
ウ) 図中のE当日安値ブレイクポイント
エ)損切り位置はそれぞれのラインの上側2~3PIP
オ) 利益確定は遅くともFの位置までにしないとその後の上昇によってせっかくの含み益状態から損切りになってしまいます。
ポイントをまとめるとアからオまでの5個になります。
エントリー前の時点で少なくともアからエまでの項目が1分以内に判断できなければスキャルピングトレードのスキルを満たしているとは言えないでしょう。
このようにエントリーの判断も早くしなければ乗り遅れるケースになってしまうし、利益確定の判断も早くしなければ含み益を減らして損切りになってしまいます。
反対にこのような判断が1分以内に早く出来る方はスキャルピングトレードに挑戦してみても良いかもしれません。
5.FX初心者は長期投資から
このようにFX初心者にとってスキャルピングトレードは極めてレベルの高いスキルを必要とするトレード方法になります。 ですから、FX初心者の正しい成長に必要不可欠なおすすめのトレードスタイルは、長期投資です。
詳しくは、FX初心者の正しい成長に必要不可欠なおすすめのトレードスタイルの記事を読んでください。
まとめ
トレード上達の王道はスキャルピングやデイトレなどのトレードスタイルに存在するわけではありません。サポートとレジスタンスを中心にしたテクニカル分析の中にあります。ですから、どこまでも真摯にサポートとレジスタンスのテクニカル分析を体得することがスキャルから長期投資までオルマイティーにこなす一流プレイヤーの姿です。