円高、円安についてニュースで耳にすることがあるかと思いますが、具体的にどんな意味かよくわからないですよね。
外貨に関わりのある仕事をしていなければ、円高ドル安を意識することは少ないでしょう。
円高ドル安とは「ドルに対して円の価値が上がっている状況のこと」です。
具体例としては「1ドル100円の状態が1ドル90円になった場合」は、円高ドル安になったといえます。
円高ドル安になると発生する影響は様々ですが、メリットとしては下記のようなことが得られます。
- 輸入品を安く購入できる
- 海外旅行に安く行ける
- 外貨商品に安く投資できる
この記事では、円高ドル安とはどのような状況のことなのか、円高ドル安になるとどのようなメリット・デメリットが発生するのかを紹介します。
ご覧頂くことで、円高ドル安の意味がわかり、日常生活や経済でどのような影響が出るのかがわかります。
1.円高ドル安とはドルに対して円の価値が上がること
円高ドル安とは「ドルに対して円の価値が上がっている状況のこと」です。
具体例としては、「1ドル100円の状態が1ドル90円になった場合」は、円高ドル安になったといえます。
なぜなら、少ない円で1ドルを得られるようになったからです。
1ドルが100円の状態では「1ドルを得るためには100円」を支払う必要があります。
それに対し1ドル90円になると「1ドルを得るために90円」だけ支払えばよいことになり、1ドルを得るためにかかる円が10円少なくなります。
つまり、少ない円でドルを得られるようになっているため、ドルに対して円の価値が上がり「円高ドル安になった」といえるのです。
通貨同士いくらで交換できるかを表す「交換レート」は、毎日上下しています。
通貨の交換レートは、2つの通貨の交換レートなので、どちらかが上がれば片方は必ず下がる、いわば「てんびん」のようなものです。
ドルには、オーストラリアドル、カナダドル、アメリカドルなど世界で22種類もあるため、ドルの国指定がない場合は、アメリカドルを指します。
したがって、円高ドル安を意味するのは、アメリカドルに対して円の価値が上がったことを意味します。
1-1.円安ドル高はドルに対して円の価値が下がること
円高ドル安に対して、円安ドル高は「ドルに対して円の価値が下がっている状況のこと」です。
具体例としては、「1ドル100円の状態が1ドル110円になった場合」は、円安ドル高になったといえます。
なぜなら、1ドルを得るために多くの円が必要になったからです。
1ドルが100円の状態では「1ドルを得るためには100円」を支払う必要があります。
それに対し1ドル110円になると「1ドルを得るために110円」を支払うことになり、1ドルを得るためにかかる円が10円多く必要になります。
つまり、ドルを得るために多くの円が必要になっているため、ドルに対して円の価値が下がり「円安ドル高になった」といえるのです。
次からは、円高ドル安になる原因について紹介していきます。
1-2.円高ドル安になる2つの原因
それでは円高ドル安が起こる原因を紹介していきます。
1-2-1.日本の輸出量の増加
日本の輸出量が増加すると円高ドル安になります。
なぜなら、海外でドルを円に交換する動きが増えて、円の価値が上がるからです。
日本の輸出量が増加すると、輸出した商品の代金を支払うために海外でドルを円に交換する動きが増えます。
よって、円の需要が増加して円の価値が上がることになります。
具体的には、トヨタやホンダなどが製造する自動車の輸出量が増えると、ドルを円に交換する動きが増えるため、円高ドル安になります。
1-2-2.海外から日本に対しての投資の増加
海外から日本に対しての投資が増加すると円高ドル安になります。
なぜなら、日本への投資が増加するとドルを円に交換する動きが増え、円の需要が増加して円の価値が高まるからです。
具体的には、海外から日本の株式を購入するためにドルを円に交換する人が増えたり、ドルを円に交換して外貨預金をする人が増えることがこれにあたります。
次からは円高ドル安になると得られるメリットについて紹介をしていきます。
2.円高ドル安による3つのメリット
それでは円高ドル安になると得られるメリットを紹介していきます。
2-1.輸入品を安く購入できる
円高ドル安になると輸入品を安く購入できるようになります。
なぜなら、価値の上がった円で輸入品を購入できるようになるからです。
具体的には、10円円高ドル安になると100ドル円のバッグが1000円安く購入できます。
- 1ドル100円の場合(円安ドル高)
100ドルのバッグを1万円で購入できる - 1ドル90円の場合(円高ドル安)
100ドルのバッグを9000円で購入できる
円高ドル安になると、輸入を営む企業は安く商品を輸入できるようになるため、仕入れコストが下がり、業績が良くなる傾向があります。多くのお店で「円高還元セール」が開催されるようになるのはこの影響です。
平成29年度の日本の食料自給率は38%であるため、6割以上の食料を輸入に頼っています。
参考:農林水産省(日本の食料自給率)http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html
2-2.海外旅行に安く行ける
円高ドル安になると海外旅行が安く行けます。
なぜなら、価値の上がった円で宿泊先のホテルや食費の支払いなどができるようになるからです。
具体的には、10円円高ドル安になると、宿泊に100ドルかかるホテルに1,000円安く泊まれます。
- 1ドル100円の場合(円安ドル高)
宿泊に100ドルかかるのホテルに1万円で宿泊できる - 1ドル90円の場合(円高ドル安)
宿泊に100ドルかかるのホテルに9,000円で宿泊できる
2-3.外貨商品に安く投資できる
円高ドル安になると、外貨建て投資信託などの外貨商品に安く投資できるようになります。
なぜなら。外貨商品に投資をする際は、価値の上がった円をドルに変えて投資することになるからです。
具体的には、10円円高ドル安になると、1,000ドルの外貨商品を1万円安く投資できます。
- 1ドル100円の場合(円安ドル高)
投資に1000ドルかかる外貨商品に10万円で投資できる - 1ドル90円の場合(円高ドル安)
投資に1,000ドルかかる外貨商品に9万円で投資できる
以上が円高ドル安になると得られるメリットの紹介です。
次からは円高ドル安になると発生するデメリットについて紹介します。
3.円高ドル安による3つのデメリット
それでは円高ドル安になると発生するデメリットを紹介していきます。
3-1.輸出を営む企業の売上が下がる
円高ドル安になると、輸出を営む企業の売上が下がります。
なぜなら、海外で商品を販売したときに得られる売上が下がるからです。
具体的には、10円円高ドル安になると、5万ドルの自動車が売れた場合、50万円売上が少なくなります。
- 1ドル100円の場合(円安ドル高)
5万ドルの自動車が売れると500万円の売上になる - 1ドル90円の場合(円高ドル安)
5万ドルの自動車が売れると450万円の売上になる
日本の代表的な輸出企業としてトヨタ、ホンダなどの自動車メーカーが挙げられますが、
これらのメーカーは、1円円高になるだけで利益が数百億円も減ってしまうと言われています。
3-2.外貨預金が減少する
円高ドル安になると、ドルで預金した外貨預金が減少します。
なぜなら、預金した時よりドルの価値が下がるからです。
具体的には、10円円高ドル安になると、1,000ドルの外貨預金が10万円少なくなります。
・1ドル100円の場合(円安ドル高)
1,000ドルの外貨預金は100万円の価値となる
・1ドル90円の場合(円高ドル安)
1,000ドルの外貨預金は90万円の価値となる
3-3.モノの値段が下がり続けるデフレに拍車がかかる
円高ドル安になるとモノの値段が下がり続ける「デフレ」に拍車がかかります。
なぜなら、円高ドル安になると輸出企業の売上が下がったり、輸入品が安くなるため、国内産業の売上も下がる傾向があるからです。
国内企業の売上が下がると、雇用されている人の所得も少なくなります。
結果、日々の生活で使えるお金が少なくなり、高いものが売れづらくなくなるため、生産者はモノの値段を下げることになり、デフレに拍車がかかることになります。
モノが売れないと、売り手は少しでも売ろうと値段を下げます。
その結果モノの値段がどんどん下がっていきます。これをデフレーション(デフレ)といいます。
まとめ
円高ドル安とは「ドルに対して円の価値が上がっている状況のこと」です。
具体例としては、「1ドル100円の状態が1ドル90円になった場合」は、円高ドル安になったといえます。
円高ドル安になると下記のようなメリットが得られます。
- 輸入品を安く購入できる
- 海外旅行に安く行ける
- 外貨商品に安く投資できる
円高ドル安になると、安くモノが購入できるため、一般消費者目線では円安ドル高のメリットは大きいと考えられます。
ただし、円高ドル安になると国内産業の売上が下がって、日本経済が落ち込む原因となりえるため、経済の観点から見ると、円安ドル高が好ましいといえるでしょう。