超分かりやすい実戦で使えるローソク足講座②(実践編)カラカサ/トンボ

カラカサとドウジ

ローソク足講座シリーズでは、基礎編でローソク足の基本的な知識、実践編では特定のローソク足の形に着目してエントリーでの活用方法を解説しています。

今回のローソク足講座②では「カラカサ」「トンボ」(下ヒゲピンバー)についてまとめていきます。

この記事で使っている単語やローソク足そのものについてまだよく分からないという方は、超分かりやすい実戦で使えるローソク足講座①(基礎編)を読んでみてください。

1.カラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)とは?

実体部分が小さく下に長いヒゲのあるローソク足は「カラカサ」と呼ばれています。

また、実体部分がなく(始値と終値がほぼ同じ価格)下に長いヒゲのあるローソク足は「トンボ」と呼ばれています。

カラカサ/トンボはローソク足が形成される意味合いは同じであり、わざわざ別名称で覚える必要もないので、この記事ではどちらも「ピンバー(下ヒゲピンバー)と呼ぶことにします。

カラカサとドウジ

2.なぜカラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)に注目するのか?

下の画像は1時間足チャートで、ピンバーを丸で囲んでいます。

1時間足チャートで、ピンバー

次に、同じ通貨ペア・同じ時間帯の5分足チャートが下の画像になり、上画像のピンバー部分が下画像では囲みの部分になります。

上の1時間足チャートで直近の安値に引いた黒色の水平線が、下の5分足チャートにも表示されているのですが、下画像の囲みの部分では安値を更新しにいったものの買い勢力の反撃に遭って結果的に戻されたことが見て取れます。

下ヒゲピンバー

下ヒゲピンバーとは「売り勢力が売りを仕掛けたものの、買い勢力の反撃に負けてしまい元の価格前後まで戻されてしまった」という事実がローソク足に現れたという事なのです。

これを違う言い方で表すと「下落の動きがダマシになった」とも言えます。

相場は常に買い勢力と売り勢力が綱引きのように戦っているわけですが、相場が動くのは「買いと売りのバランスが崩れた時」です。売り手がダマシに遭い売りポジションを捨てて損切りすると、それは買い注文を行った事になります。

買い手が優勢になると買い手は勝ち馬に乗ろうとさらに買い注文を行い、上昇していく相場に慌てる売り手が損切り注文(=買い注文)を行うと相場はどうなるでしょうか?

注文が買いに偏ることで相場は一方的に上昇する流れになります。

上の1時間足チャートではピンバー出現後、大きく上昇しましたが、このピンバーが上昇のサインになった可能性が考えられそうですよね。

これがピンバーに注目すべき理由です。

3.カラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)を活用したエントリー手法

もちろん、下ヒゲピンバーの全てがエントリーのサインにはなり得ません。

「2.なぜカラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)に注目するのか?」で「下ヒゲピンバーは下落の動きがダマシになった結果形成されるローソク足」と解説しましたが、非常に重要なのは

・どの場面で下ヒゲピンバーが形成されたか?(どの場面でダマシが発生したか?)
です。

ここでは、「どこでエントリー/損切り/利確すれば良いのか?」と合わせて具体的!に解説していきます。

3-1.エントリー/損切り/利益確定のタイミング

・エントリー

基本的に、ピンバーの足が確定したらエントリーします。 足が確定する前のエントリーは厳禁です(足の確定が近づいてきた時に急な動きが出てピンバーにならずに足確定する可能性があるため)。

・損切り

ピンバーのヒゲ先か、もしくはヒゲ先より少し上(5~10pips)の価格で損切りします。

なぜならピンバーのヒゲ先を上抜けされるという事は「ピンバー発生で”下落のダマシ”と思われたエントリーサインが”さらにダマされた”」事になるからです。

「ショートエントリーの根拠が崩れたので損切りをしなければならない」という事です。

「損切りはヒゲ先か?ヒゲ先の少し上か?」には唯一の正解はありません。

ヒゲ先で損切りすればギリギリ損切りに引っ掛かってその後狙っていた方向に戻っていかれる事に遭遇するのは避けられないでしょう。

一方、ヒゲ先の少し上で損切りする場合は、ヒゲ先で損切りするよりも損切りになった際のマイナスpips数は必然的に大きくなります。

トレードにおける判断は常に一長一短がつきまといます(繰り返しますが正解はありません)ので、ご自身の性格・向き不向きを考えてどちらかに固定するようにしましょう。

都度、感覚で判断するのは、勝てるトレーダーとして熟練しない限り裏目に出がちで自身のトレードスタイルを迷走・崩壊させてしまう恐れさえあるのでおすすめしません。

・利益確定

これも唯一の正解は存在しませんので、「①チャート上、直近の目立つ高値を利確目標にする」か「②損切りと同じ値幅を利確目標にする」か「③損切りの2倍の値幅を利確目標にする」など、何かひとつに固定するようにしましょう。

②の場合は勝率が51%以上を維持できれば資金を増やせていける計算になります。

③の場合は目標まで届かず損切りになるケースが多くなりますが、勝率は34%以上あれば資金を増やせていける計算になります。一長一短を理解し、ご自身の性格・向き不向きを考えてルールを固定してください。

なお、損切りルールと同様の理由で、利益確定も感覚判断はおすすめしません。

感覚に頼ると「含み益は一刻も早く利益確定したくなる」「損切りは起死回生を祈ってできるだけ先延ばししてしまう」傾向が強くなります(いわゆる「コツコツドカン」です)。

「コツコツドカン」は必ずしも悪ではないのですが、勝ててない人の「コツコツドカン」は典型的な負け組の負けパターンであり、これを卒業できないと勝ち組に仲間入りするのはまず難しいです。なので、「ルールを決める」「ルールは必ず守る」を徹底しましょう。

・エントリー/損切り/利益確定の設定例

「2.なぜカラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)に注目するのか?」で使用した1時間足チャートでのエントリー/損切り/利益確定の一例です(これが唯一の正解という事ではなく、一例として参考にしてみてください)。

エントリー/損切り/利益確定の設定例

3-2.狙いたい場面3選

特に重要な局面でないところで出現する下ヒゲピンバーは「ローソク足が確定するまでの間、単に相場が下落した後に上昇の動きになった」ことを表すだけです。

重要な局面での下ヒゲピンバーは「売り勢力の仕掛けが失敗した」、すなわち「買い勢力が優勢な事があらわになり、この後上昇する可能性が高くなったと考えられる」という意味を表すサインになってきます。

ここでは下ヒゲピンバーの特徴を活かしたエントリーサインを3つ、紹介していきます。

①ダブルボトム

左側の山と同じくらいの価格で下ヒゲピンバーが出現した場合、前回安値の更新を狙った売りの仕掛けが失敗しダマシになったという事なので、この後ダブルボトムを形成し上昇していく可能性が高くなると考えられます。したがって、この場面はロングエントリーのチャンスになります。

ダブルボトム

②逆ヘッドアンドショルダー

右肩下がりの波形が崩れて右肩上がりの波形に切り替わる時に逆ヘッドアンドショルダーの形が出現します。
ダブルボトムと比べると、前回安値まで下落する勢いがない、つまりダブルボトムよりもより売り方が劣勢という事が表れています。
この「右肩」部分で下ヒゲピンバーが出現した場合、この後上向きの流れになり逆ヘッドアンドショルダーが完成する可能性が高くなりますので、この形はロングエントリーのチャンスになります。

逆ヘッドアンドショルダー

③N字(レジサポ)

意識されて(反応して)いるラインを上にブレイクした後の戻りの場面です(「押し目買い」と呼ばれる場面ですね)。意識されているラインをローソク足実体で抜けられず下ヒゲピンバーが出現した場合、大きな下落を狙った売り方の仕掛けが失敗した事を表すので、この後はN字を描くように上昇の流れが継続する可能性が高くなる(ロングエントリーのチャンスになる)と考えられます。

N字

上のチャート図では1本のラインを引いています。
このラインを挟んで、左側ではラインの下で売り買い攻防、上に抜けた右側ではラインの上でチャートが推移する動きのことを「レジサポ転換」と呼びます。

丸で囲んだ場面のような「チャートの形(抜いた→戻った→ピンバー)」を覚えておくようにしましょう。

※レジサポ転換の詳細についてはこちらで詳しく解説されています。
【超入門編】FXレジサポラインの基礎の基礎

4.トレードの成功率をさらに!高めるコツ

「3-2.狙いたい場面3選」をさらに成功率アップさせるための秘訣を解説します。

①下ヒゲの長さが十分にある

「2.なぜカラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)に注目するのか?」で仕組みについて解説したとおり、「下ヒゲの長さ≒ダマされた買い手のポジション量」になります。

「下ヒゲが長いほど、その後の売り手の損切りの期待度が上がる=上昇の期待度が上がる」となるので、下ヒゲの長いピンバーほど成功率が高まります。

②(ダブルボトム、逆ヘッドアンドショルダー狙いの場合、)レジサポとの組み合わせで見ていく

ダブルボトム、逆ヘッドアンドショルダー狙いの場合では、レジサポ(N字)と組み合わせで見ていく事で大きく勝率を上昇させることができるようになります。

例えば、下の模式図は「3-2.狙いたい場面3選」の「①ダブルボトム」です。

①ダブルボトム

これをズームアウトして広い範囲を見てみたところ「実は大局的には下落の流れだった」としたら、ロングを狙っていたら損切りになる可能性の方が高そうです。

実は大局的には下落の流れだった

一方で、下の図のように「大局的に見ると上昇の流れだった」としたら、これは十分利益確定が期待できそうです。 この模式図は、結果的に「③N字」と「①ダブルボトム」ふたつのエントリー条件を同時に満たしていることが分かりますでしょうか?

大局的に見ると上昇の流れだった

このように、「目先の動きを追いかける」のではなく、相場を大局的に見ていくことは、とても重要なのです。

5.まとめ

この記事では「カラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)」について基礎的な事から実戦的な内容まで一気にまとめてみました。

超分かりやすい実戦で使えるローソク足講座①(基礎編)も含め、何度も読み直してみてください。

リアルトレードでこのようなチャンスを見つけられるようになるには「たくさんチャートを見る」ことが不可欠です。

「たくさんチャートを見る事の重要性」はいろいろなブログ等で目にしたことがあるかもしれませんが、「何となくチャートを見る」のと「テーマを持ってチャートを見る」のではやはりトレードスキルがアップする速度は大きく変わります。

この記事がトレードスキルアップのお役に立てれば幸いです。

■カラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)とは?

■なぜカラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)に注目するのか?

■カラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)を活用したエントリー手法
・エントリー/損切り/利益確定のタイミング
・狙いたい場面3選

■トレードの成功率をさらに!高めるコツ
・下ヒゲが十分に長いこと
・レジサポと組み合わせてカラカサ/トンボ(下ヒゲピンバー)を狙っていく