超分かりやすい実戦で使えるローソク足講座①（基礎編）は、もう読まれましたか。
基礎編が理解できたら、実践編でトレードに活用する方法を学んでいきましょう。
この記事では「トンカチ」「トウバ」（上ヒゲピンバー）についてまとめていきます。
この記事で使っている単語やローソク足そのものについてまだよく分からないという方は、超分かりやすい実戦で使えるローソク足講座①（基礎編）を読んでみてください。
１．トンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）とは？
実体部分が小さく上に長いヒゲのあるローソク足は「トンカチ」と呼ばれています。
また、実体部分がなく（始値と終値がほぼ同じ価格）上に長いヒゲのあるローソク足は「トウバ」と呼ばれています。
トンカチ／トウバはローソク足が形成される意味合いは同じであり、わざわざ別名称で覚える必要もないので、この記事ではどちらも「ピンバー（もしくは上ヒゲピンバー）と呼ぶことにします。
２．なぜトンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）に注目するのか？
下の画像は１時間足チャートで、ピンバーを丸で囲んでいます。
次に、同じ通貨ペア・同じ時間帯の５分足チャートが下の画像になり、上画像のピンバー部分が下画像では囲みの部分になります。
上の１時間足チャートで高値に引いた黒色の水平線が、下の５分足チャートにも表示されているのですが、下画像の囲みの部分では高値を更新しにいったものの売り勢力の反撃に遭って結果的に戻されたことが見て取れます。
つまり、上ヒゲピンバーとは「買い勢力が買いを仕掛けたものの、売り勢力の反撃に負けてしまい元の価格前後まで戻されてしまった」という事実がローソク足に現れたという事なのです。
これを違う言い方で表すと「上昇の動きがダマシになった」とも言えます。
相場は常に買い勢力と売り勢力が綱引きのように戦っているわけですが、相場が動くのは「買いと売りのバランスが崩れた時」です。
買い手がダマシに遭い買いポジションを捨てて損切りすると、それは売り注文を行った事になります。
売り手が優勢になると売り手は勝ち馬に乗ろうと売り注文を行い、買い手は損切りの売り注文を行うと相場はどうなるでしょうか。
注文が売りに偏ることで相場は一方的に下落する流れになります。
上の１時間足チャートではピンバー出現後、大きく下落しましたが、そのピンバーが下落のサインになった可能性が考えられます。
これがピンバーに注目すべき理由です。
３．トンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）を活用したエントリー手法
上ヒゲピンバーの全てがエントリーのサインにはなり得ません。
「２．なぜトンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）に注目するのか？」で「上ヒゲピンバーは上昇の動きがダマシになった結果形成されるローソク足」と解説しましたが、非常に重要なのは、
どの場面で上ヒゲピンバーが形成されたか？（どの場面でダマシが発生したか？）です。
ここでは、「どこでエントリー／損切り／利確すれば良いのか？」と合わせて具体的！に解説していきます。
３－１．エントリー／損切り／利益確定のタイミング
・エントリー
基本的に、ピンバーの足が確定したらエントリーします。 足が確定する前のエントリーは厳禁です（足の確定が近づいてきた時に急な動きが出てピンバーにならずに足確定する可能性があるため）。
・損切り
ピンバーのヒゲ先か、もしくはヒゲ先より少し上（５～１０ｐｉｐｓ）の価格で損切りします。
なぜならピンバーのヒゲ先を上抜けされるという事は「ピンバー発生で”上昇のダマシ”と思われたエントリーサインがダマされた」事になるからです。
「ショートエントリーの根拠が崩れたので損切りをしなければならない」という事です。
「ヒゲ先か？ヒゲ先の少し上か？」には正解はありません。
ヒゲ先で損切りすればギリギリ損切りに引っ掛かってその後狙っていた方向に戻っていかれる事に遭遇するのは避けられないでしょう。
一方、ヒゲ先の少し上で損切りする場合は、ヒゲ先で損切りするよりも損切りのｐｉｐｓ数は必然的に大きくなります。
トレードにおける判断は常に一長一短がつきまといます（繰り返しますが正解はありません）ので、ご自身の性格・向き不向きを考えてどちらかに固定するようにしましょう。
都度、感覚で判断するのは、勝てるトレーダーとして熟練しない限り裏目に出がちで自身のトレードスタイルを崩壊させてしまう恐れさえあるのでおすすめしません。
・利益確定
これも唯一の正解は存在しませんので、「①チャート上、直近の目立つ安値を利確目標にする」か「②損切りと同じ値幅を利確目標にする」か「③損切りの２倍の値幅を利確目標にする」など、何かひとつに固定するようにしましょう。
②の場合は勝率が５１％以上を維持できれば資金を増やせていける計算になります。
③の場合は目標まで届かず損切りになるケースが多くなりますが、勝率は３４％以上あれば資金を増やせていける計算になります。
一長一短を理解し、ご自身の性格・向き不向きを考えてルールを固定してください。
損切りルールと同様の理由で、利益確定も感覚判断はおすすめしません。
感覚に頼ると「含み益は一刻も早く利益確定したくなる」「損切りは起死回生を祈ってできるだけ先延ばししてしまう」傾向が強くなります（いわゆる「コツコツドカン」です）。
「コツコツドカン」は必ずしも悪ではないのですが、勝ててない人の「コツコツドカン」は典型的な負け組の負けパターンであり、これを卒業できないと勝ち組に仲間入りするのはまず難しいです。
「ルールを決める」「ルールは必ず守る」を徹底しましょう。
※損切り／利益確定はエントリーと同時に逆指値／指値でセットしておきましょう。
成行決済はおすすめしません。
「利益確定」で解説したように負け組トレードから卒業するには「自分で決めたルールを守る」事が極めて重要で、エントリーする時点で「損切りと利益確定も同時にセットし、セット後は変更しない」が最も簡単にルールを守れる事に繋がります。
しっかりクセを付けて行くようにしましょう。
・エントリー／損切り／利益確定の設定例
「２．なぜトンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）に注目するのか？」で使用した１時間足チャートでのエントリー／損切り／利益確定の一例です（これが唯一の正解という事ではなく、一例として参考にしてみてください）。
３－２．狙いたい場面３選
特に重要な局面でないところで出現する上ヒゲピンバーは「ローソク足が確定するまでの間、単に相場が上昇した後に下落の動きになった」ことを表すだけです。
真上にレジスタンスがある重要な局面での上ヒゲピンバーは「買い勢力の仕掛けが失敗した」、すなわち「売り勢力が優勢な事があらわになり、この後下落する可能性が高くなったと考えられる」という意味を表すサインになってきます。
ここでは上ヒゲピンバーの特徴を活かしたエントリーサインを３つ、紹介していきます。
①ダブルトップ
真上にレジスタンスがあり、左側の山と同じくらいの価格で上ヒゲピンバーが出現した場合、前回高値の更新を狙った買いの仕掛けが失敗しダマシになったという事です。
この後ダブルトップを形成し下落していく可能性が高くなると考えられます。
したがって、この場面はショートエントリーのチャンスになります。
②ヘッドアンドショルダー
右肩上がりの波形が崩れて右肩下がりの波形に切り替わる時にヘッドアンドショルダーの形が出現します。
ダブルトップと比べると、前回高値まで上昇する勢いがないく、ダブルトップよりも買い方が劣勢という事が表れています。
この「右肩」部分で上ヒゲピンバーが出現した場合、この後下向きの流れになりヘッドアンドショルダーが完成する可能性が高くなります。
この形はショートエントリーのチャンスになります。
③Ｎ字（レジサポ）
意識されて（反応して）いるラインを下にブレイクした後の戻りの場面です（「戻り売り」と呼ばれる場面です）。
意識されているラインをローソク足実体で抜けられず上ヒゲピンバーが出現した場合、大きな上昇を狙った買い方の仕掛けが失敗した事を表します。
この後はＮ字を描くように下落の流れが継続する可能性が高くなる（ショートエントリーのチャンスになる）と考えられます。
チャート図では１本のラインを引いています。
このラインを挟んで、左側ではラインの上で売り買い攻防、下に抜けた右側ではラインの下でチャートが推移する動きを「レジサポ転換」と呼びます。
丸で囲んだ場面のような「チャートの形」を覚えておくようにしましょう。
※レジサポ転換の詳細についてはこちらで詳しく解説されています。
【超入門編】FXレジサポラインの基礎の基礎
４．トレードの成功率をさらに！高めるコツ
「３－２．狙いたい場面３選」をさらに成功率アップさせるための秘訣を解説します。
①上ヒゲの長さが十分にある
「２．なぜトンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）に注目するのか？」で仕組みについて解説したとおり、「上ヒゲの長さ≒ダマされた買い手のポジション量」になります。
「上ヒゲが長いほど、その後の買い手の損切りの期待度が上がる＝下落の期待度が上がる」となるので、上ヒゲの長いピンバーは成功率が高まります。
②レジサポとの組み合わせで見ていく（ダブルトップ、ヘッドアンドショルダー狙いの場合）
ダブルトップ、ヘッドアンドショルダー狙いの場合では、レジサポ（N字）と組み合わせで見ていく事で大きく勝率を上昇させることができるようになります。
例えば、下の模式図は「３－２．狙いたい場面３選」の「①ダブルトップ」です。
これを上のタイムトレードや広い範囲で見てみたところ「実は大局的には上昇の流れだった」としたら、ショートを狙っていたら損切りになる可能性の方が高そうです。
反対に下の図のように「大局的に見ると下落の流れだった」としたら、これは十分利益確定が期待できそうです。
この模式図は、結果的に「③Ｎ字」と「①ダブルトップ」ふたつのエントリー条件を同時に満たしていることが分かりますか？
このように、「目先の動きを追いかける」のではなく、相場を大局的に見ていくことはとても重要です。
５．まとめ
この記事では「トンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）」について基礎的な事から実戦的な内容まで一気にまとめてみました。
リアルトレードでこのようなチャンスを見つけられるようになるには「たくさんチャートを見る」ことが不可欠です。
たくさんチャートを見る事の重要性」はいろいろなブログ等で目にしたことがあるかもしれませんが、「何となくチャートを見る」のと「テーマを持ってチャートを見る」のではやはりトレードスキルがアップする速度は大きく変わります。
この記事がトレードスキルアップのお役に立てれば幸いです。
■トンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）とは？
■なぜトンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）に注目するのか？
■トンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）を活用したエントリー手法
・エントリー／損切り／利益確定のタイミング
・狙いたい場面３選
■トレードの成功率をさらに！高めるコツ
・上ヒゲが十分に長いこと
・レジサポと組み合わせてトンカチ／トウバ（上ヒゲピンバー）を狙っていく
