最近、少子高齢化や景気後退、老後の年金問題など将来への不安が増えてきているように感じますよね。そういった不安を払拭するための手段として資産運用という方法があり、その中でもFXに注目されている方は少なくないと思います。
この記事ではFX初心者が安全にFX取引を始められる方法について解説していきます。
1.FXとは
FXとは「Foreign Exchange」の略で、直訳すると「外国為替」という意味です。
ある国の通貨(例えば日本円)と別の国の通貨(例えば米ドル)を、その時点でのそれぞれの通貨価値に合わせて交換することを外国為替取引と呼びます。
「なぜ外国為替取引が行われているの?」と疑問を持たれる方もおられるかもしれませんが、元々は外国の債権を買う為だったり、輸出入を行うために相手国の通貨を用意するといった目的があって取引が行われます。
しかし各国の通貨の価値は、2国間それぞれの需要や供給などの関係や、政治経済の状況などによって、常に上がったり下がったりと変化しているので、自国から他国の通貨に交換した後、他国から自国の通貨に交換して戻すと同じ金額にはならず、増えることもあれば減ってしまうということも起こります。
外国為替取引にはこのような特性があるので、「2国間の通貨交換を通して利益を狙う事を目的にする」投機的な取引も行われているのです。
※「外国為替取引そのもので利益を狙う」という行為は「世の中の役に立たない投機行為」と思われる方もいるかもしれません。
取引市場は活発で大きな規模の取引が行われていないと価格が安定せず乱高下したり、最悪の場合には輸出入目的などの取引自体も成立させることができなくなる可能性もでてきます。 安定した外国為替市場(流動性のある外国為替市場)を形成するためには、投機的な取引も大変重要な役割を持っているのです。 |
※一般的には「FX」は「外国為替取引」という意味でも使われているので、以降は「外国為替取引」は「FX」で呼び方を統一します。
2.FXを始めるために必要な3つの準備
FXを始める際は、前もって以下の3つのことを準備しましょう。
①知識を学ぶ
②トレード環境を整える
③取引ツールを準備する
これらの準備をせずに始めてしまうと、スムーズに取引を行うことができません。
2-1.知識を学ぶ
FXの仕組みについて解説します。
■FX業者について
FXトレードは通貨の交換を行う行為なので、通貨交換を成立させるための仲介役が必要になり、個人トレードの場合はFX業者が仲介役の役割を果たしてくれます。
※銀行や街・空港などで外貨両替を行っているところでも外貨交換は可能ですが、海外旅行等でたまに外貨交換に利用するならまだしも、頻繁に交換を行うと手数料が非常に高くかかり、とても不利なトレードになってしまいます。
具体的には、業者や交換時期によって異なるので一概には言えないものの、ざっくり目安として10万円あたり2000円以上の手数料相当が実質的に取られることになります。 (「手数料ゼロ」や「手数料割引」などうたっていても、交換レートと実際の為替レートとで差をつけて大きな利益を得ています)これは米ドル/円でのFXトレードに置き換えると、トレードの注文をした瞬間に2円分以上もの含み損を抱えた状態になるということなのです。これではまず勝てないですよね。 |
それに比べFX業者は、競合するFX業者との競争に勝つために、あらゆる手段で個人トレーダーをサポートしてくれます。
例えば・・・
✔格安手数料(銀行や外貨両替所と比べて数十分の一~百分の一以下)
✔快適にトレードを行うためのアプリ
✔初心者向けコンテンツの充実
などがあります。
FX業者は複数あるので、自分に合った業者を選択しましょう。
■レバレッジについて
FXトレードで、ある程度の大きさの利益を出すには、大きな金額の通貨トレードが必要になります。
※1ドル=100円だとして、1万円を100ドルに交換し、その後1ドルが101円になった時に100ドルを円に交換すると、1万100円になり100円が増える事になりますよね(手数料を考慮しない場合)。 このケースだと1円の円安で100円の利益になるということです。
1円の円安で1万円の利益を得たいのなら100万円の資金が必要になり、手軽にトレードを行うのがだんだん難しくなってきますよね。
そのため、FXトレードでは「レバレッジ」と呼ばれる仕組みを活用することができます。 これは、トレーダーがFX業者にトレード資金を「証拠金」として預け、FX業者は証拠金に対し最大25倍(日本の法律で定められています)までのトレードが行えるようにするものです。
上記の例と同じ条件でレバレッジを活用しない場合は、1万ドルのトレードに100万円が必要になりますが、レバレッジを活用すれば最小4万円(レバレッジ25倍のとき)の証拠金で1万ドルのトレードを行うことができます。
しかし、FX業者で定められている証拠金維持率を、含み損の発生で下回ってしまうと、強制的に決済(ロスカット)されてしまうので、実際にはトレードに余裕を持たせた証拠金が必要になります。
■トレード技術について
「買い」トレードと「売り」トレード
FXトレードは2つの通貨の交換なので、例えば「米ドル/円」であれば「円→米ドル」と「米ドル→円」、どちらの方向の交換(=トレード)も可能です。
「買い」トレード、すなわち通貨ペア表記の最初に記載する通貨を買って、後ろに記載する通貨を売るトレード(米ドル円の場合は米ドル買い・円売り)のことを「ロング」、逆に通貨ペア表記の後ろに記載する通貨を買って、最初に記載する通貨を売るトレード(米ドル円の場合は円買い・米ドル売り)のことを「ショート」と呼びます。
注文方法1:成行注文と指値注文
FXトレードでは様々な注文方法があるのですが、代表的な注文方法は成行注文(なりゆきちゅうもん)と指値注文(さしねちゅうもん)になります。
成行注文・・・注文を確定した瞬間の為替レートで通貨交換を行う注文方法
指値注文・・・注文したい為替レートをあらかじめ指定しておき、実際に指定していた為替レートになった時に注文が確定する方法です。
注文方法2:逆指値注文
指値注文は、基本的には新規注文や利益確定に使うのですが、「逆指値注文」は主に損切りする為替レートをあらかじめ指定するために使用します。
2-2.トレード環境を準備する
■トレードに必要な機材(パソコン)を用意する
FX業者でが利便性を追求してきた結果、今ではパソコンはもちろんのこと、タブレットやスマホでもトレードが行えるなど便利になりました。 タブレット/スマートフォン用アプリの機能も強化されてきています。しかし、FXトレードをしっかり行いたいなら、パソコンを用意することを強くオススメします!
トレードを行うにはインターネットへの接続が必要です。■トレードに必要な機材2:インターネット
FXトレードを行う上では、ネット動画視聴のような高速インターネット環境までは必要なく、スマートフォンをお持ちであればテザリングで接続しても大きな問題はありません。
さまざまな情報収集や取引ツールなどのダウンロードなどを行うことを考えると、自宅用のインターネット接続環境を用意されることをおすすめします。
インターネット接続サービスの一例
✔NTT フレッツ光
✔au光
✔Softbank 光
有名な接続サービス事業者であれば、どこを選んでも間違いはありませんが、スマートフォンをお持ちの方であれば、同じ事業者を選ぶと割引サービスなどのメリットを得られることがあります。
■生活環境を整える
FXは月曜朝から土曜の朝まで、年末年始を除けばいつでもトレードが可能です。これは、各国によって取引時間が異なるためです。
サマータイムの関係で時期によりズレはありますが、概ね下図のように分類されます。
(FXは、証券取引のような各国取引所が存在しないので時間帯は目安になります)。
仕事や家庭生活とのバランスを考えてFXトレード行う時間を決めるようにしましょう。基本的には市場参加者が多く、取引が活発な時間帯の方がFXトレードには向いています。
おおよそ21時頃~翌日2時頃までが取引が活発な時間帯になります。
2-3.取引ツールを準備する
FX業者によって異なりますが、パソコン用の取引ツールは「インストール不要で手軽に使える、ブラウザ上で動作するブラウザ版」と「インストールは必要なものの、使いやすさや機能が充実している専用アプリ版」に大きく分けられます。
基本的には専用アプリ版をおすすめしますが、お使いのパソコンのスペックに応じて
「古いパソコンなので、比較的動作の軽いブラウザ版の取引ツールを選ぶ」
「比較的新しいパソコンなので、専用アプリ版をインストールして使う」
というように選び分けても良いと思います。
■OANDA JAPAN(オアンダ・ジャパン)でデモ口座開設する
FX初心者であれば、OANDA JAPAN(オアンダ・ジャパン)でのデモ口座開設をおすすめします。
その理由は大きくは3点あります。
理由1:最小1通貨単位からの取引に対応している
多くのFX業者では、最小取引単位は1,000通貨もしくは10,000取引通貨以上となっています。最小取引単位が10,000通貨だと、例えば米ドル円の場合、注文した方向と逆に1円動いてしまうと損失金額が1万円になってしまいます。
専業として活躍されているトレーダーも最初はFX初心者で、最初から勝てていたわけではありません。ですので、最初はできる限り取引単位の小さなFX業者で自分だけの必勝法を確立する練習を積み重ねていくために、小さい取引単位のFX業者を選ぶようにしましょう。
理由2: デモ口座、本番口座の両方とも1通貨単位からの取引に対応している
デモ口座で注文・決済の操作に慣れたら、本番口座でも同じ操作感でリアルトレードが行えるようになります。
理由3: パソコン、スマートフォン、タブレット用の取引ツールが用意されている
デモ口座を開設するには、https://www.oanda.jp/registから行います。
■取引に必要なツールを準備する
取引ツールは、「Fx Trade」をダウンロードしてパソコンにインストールします。
3.FX初心者の安全な取引の始め方2STEP
初心者が安全にトレードを始めるためには、必ずデモトレードからスタートするようにし、本記事で紹介しているチェックポイントをクリアしてからリアルトレードに移るようにしましょう。
この章では、STEP1:デモトレード→STEP2:リアルトレードの順でFX初心者がやるべきことを解説していきたいと思います。
3-1.STEP1:デモトレードから始める
FX初心者がデモトレードから始める目的は、大きく分けて3つあります。
ここでは、3つの目的の解説と、FX初心者がどのようにデモトレードで取り組んでいけばよいのかを具体的に解説します。
①トレード方法に慣れる
思わぬ操作ミスや間違った理解から、貴重なリアルマネーを失うことのないよう、必ず最初はデモトレードでトレード操作の流れを確認することを強くおすすめします。
トレード方法に慣れるためのチェックポイント
(トレードの勝ち負けは気にせず、実際にデモトレードで操作を行ってみましょう)
□通貨ペアを間違えずに注文できているか?
□ロング(買い)/ショート(売り)を間違えずに注文できたか?
□決済注文を間違えなくできているか(買いポジションの決済をしたつもりが、間違って新規の売り注文をしてしまっていないか?)
□ロット数を間違えずに注文/決済できているか(リアルマネーでロットの桁を間違えると大変な事になりかねません)
□成行注文、指値注文を間違えずに行えているか?
②どのくらいの値動きでどのくらい資金が増減するのかを知る
適正な通貨数でない注文を行ってしまい、短時間で大きな資金を失うことのないよう、デモトレードを通じて相場の値動きや資金増減の動きを、しっかり理解しておくようにしましょう。
相場の変動での資金増減をイメージできるようになるためのチェックポイント
(こちらも、トレードの勝ち負けは気にせず、実際にデモトレードで操作を行ってみましょう)
□米ドル円を1万通貨/1000通貨/100通貨/10通貨/1通貨でそれぞれ注文し、1日~数日待って為替レートの変化と各ポジションの利益/損益状況を見てみる
③デモトレードで資金を増やしていけるよう練習する
FXで資産を増やしていきたいのであれば、一攫千金を狙ったギャンブルトレードを行うのではなく、自分なりの勝ちやすいパターンを見つけましょう。それを繰り返す事で、勝ったり負けたりを繰り返しながら、資金を中期的に増やしていけるようになることが必要です。 後でリアルトレードを行うことを意識ながらデモトレードを行っていくと、リアルトレードを始めた際にイメージしやすくなりますよ。
最初は1注文あたり1通貨
まずは1カ月ほど、1通貨でのトレードを行ってみましょう。
トレードを行う際は必ず、
✔注文日時
✔通貨ペア
✔ロング/ショート
✔なぜそこで注文したのか
✔なぜそこで利益確定/損切りをしたのか
✔利益確定pipsと金額、もしくは損切りpipsと金額
これらすべてを記録するようにしてください。
すべて記入することにより、トレード後に細かいところまで検証できるようになります。
定期的に結果を集計し振り返る
1カ月が過ぎたら、トレード結果を集計しましょう。
・何勝何敗
・利益確定pipsと金額の合計
・損切りpipsと金額の合計
収支はプラスになりましたか?
マイナスに終わってしまいましたか?
どちらの結果になったにせよ、必ず「なぜそこで注文したのか」「なぜそこで利益確定したのか」を見て振り返り、共通する勝ちパターンのようなものがないか考えてみましょう。
同様に、共通する負けパターンがないか考えてみましょう。
その上で、翌月取り組むテーマを決めて(こういう場面では注文しない、こういう場面が来たら迷わず注文する、など)1カ月間トレードに取り組み、先月より結果が良くなったかどうかを比較しながら再び振り返る、この繰り返しを続けていくようにしましょう。
取引金額を増やす基準とリアルトレードに移行する基準
3か月連続でプラス収支になったら、1トレードあたりの通貨数を増やし、引き続きトレード記録を振り返り、改善テーマを決めトレードを継続していきましょう。
もし、取引金額を増やすことで収支が悪化するようになってしまったら、自分のトレードを振り返ってみましょう。
✔通貨単位が増えたことにより、トレード内容が変化していないか
✔積み重ねた利益を失うのが怖くなり、注文すべき場面で見送っていないか
✔1回の負けを取り返したい気持ちが先走り、注文すべきでない場面でトレードしてしまっていないか
もし思い当たる点があれば改善していくようにしましょう。
収支の悪化が改善できない場合は、取引通貨数を減らすようにしましょう。
「トレード→振り返り→改善」を繰り返し、ある程度安定してプラス収支を出せるようになり自信がついたら、リアルトレードに移行していきましょう。
3-2.STEP2:リアルトレードを始める
リアルトレードでも、最初は1注文あたり1通貨から始める
取引金額が変わるとトレードに対する気持ちも変わりがちで、一般的には成績を悪くしてしまう行動をとりがちになります。ですので、デモトレードで結果を出し自信を付けたとしても、リアルトレードでも焦らず1通貨から始めるようにしましょう。
そしてデモトレードの時と同様、一定期間毎に結果を振り返り、改善を繰り返しながら取引通貨を1ステップずつ多くしていくようにしましょう。
リアルトレードで上手くいかないときは?
「デモトレードでもリアルトレードでもやることは同じはずなのになぜか上手くいかない・・・」など、本当のお金とデモ用の仮のお金とではプレッシャーが変わってきますよね。
デモだと上手くいっても、リアルマネーだと上手くいかない時の対処法を2つ紹介します。
対処法1:デモトレードにいったん戻る
一度デモトレードに戻ってトレードをしばらく行い、リアルトレードの結果と比較してみましょう。
デモトレードだとできていたことが、リアルトレードになるとできなくなっている事が見当たりませんか?
デモトレードで結果が出ていたのであれば、リアルトレードとの違いがどこかにあるはずですので、それを見つけ出してどうすればデモと同じトレードができるようになるか改善方法を考えてみましょう。
対処法2:取引通貨数を少なくする
取引金額が大きくなるとプレッシャーも大きくなりがちで、プレッシャーに負けて少額の時と同じトレードができなくなっている可能性があります。
そんな時は、ストレスを感じなくなるまで(例えば連続で損切りになっても何とも思わなくなるなど)取引通貨数を小さくし、再び自信を付けながら徐々に通貨数を大きくしていくようにしましょう。
中級者以上になった時に取引数量を増やしていく基準と注意点
少額トレードで十分に経験を積んで自信も付いた時、取引数量をどういう基準で増やしていくか、またその際の注意点について解説します。
トレードは必ず余裕資金で!
いきなり注意点から始まってしまいますが、とても重要なので、まずこの点から解説したいと思います。
トレード資金と生活費は必ず完全に切り分けるようにしましょう。生活費でトレードを行っても正常なトレード判断ができず、せっかくデモトレードで経験を積んでもリアルトレードで活かせません。
1トレードでの損失許容金額は、トレード資金の0.5%~3%以内を厳守!
一般的には、「1回のトレードで許容する損失金額の目安はトレード資金総額の1~3%程度」と言われています。
FX初心者の場合は、上限0.5%以内をおすすめします。
(トレード資金100万円であれば、トレード一回での最大損失は5千円)
一回のトレードで資金総額の20%も30%も失ってしまうと、大きな精神的ダメージを受けてしまい、冷静なトレードができなくなってしまいます。
最大損失を0.5%に抑えるようにすれば、単純計算になりますが100連敗してもまだ資金の半分は残ることになり、冷静にトレードを継続しやすくなります。
ですから、損失を許容する%を増やしていくのではなく、勝ちトレードを通じてトレード資金を増やし、トレード資金と比例して取引金額を増やしていくようにしましょう。
3.まとめ
ここまでFXの始め方について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
FXは一攫千金を狙うギャンブルとして考えるのではなく、正しい知識で安全に始めれば、将来に向けての優れた資産運用手段になり得ますので、本記事で紹介した手順を踏んで急がず着実にステップアップを目指していくようにしましょう。
■FXを始めるために3つの準備を行う
①FXの仕組みや取引手法、用語などの基礎知識を学ぶ
②トレード環境を準備する(パソコン、ネット環境、生活環境)
③取引ツールを準備する
■2STEPで安全に取引を始める
STEP1: デモトレードから始める
STEP2: リアルトレードに移行する
特にSTEP2を丁寧に繰り返し実践していけば、今後勝ちトレーダーの仲間入りができる可能性が格段と高くなりますよ。
具体的なトレード方法については、FX初心者に1番おすすめできる証券会社・通貨ペア・トレード手法【決定版】で解説しているので読んでみよう。