2017年9月、国内のFXレバレッジが25倍から10倍までに引き下げを金融庁が検討しているという「レバレッジ規制」の報道が流れました。
この報道にネット上などでは、不安や、困惑などで溢れました。後の展開では、やはりレバレッジ規制は濃厚の様で、個人投資家の皆さんはその規制が始まる時まで何もせず待つだけでしょうか?
もちろんそんなことはありません。規制の前にこれだけは、すべき事、知っておくべき事があります。実は過去にも国内のFXの歴史の中で2回のレバレッジ規制があり、今回規制が行われれば、3回目となります。
そこで、今回過去のレバレッジの規制を振り返りながら、いつ規制が行使されるのか、された場合どうすれば良いのか、実際にその時になった時迷ったり、間違わない為の方法を紹介します。この記事を読んだ後、ぜひ試してみてください。
1.レバレッジ25から10倍に規制
2017年9月27日に日経新聞よりレバレッジを25倍から10倍に引き下げを金融庁が検討しているというニュースが報じられました。
この報道に対して金融庁は否定をしておらず、主に個人投資家や金融機関が予想を超えた損失を抱えるリスクが高まっているとして、投資家保護のための規制のようです。
しかし2010年に50倍に規制され、2011年に25倍に規制され、今回は10倍までに引き下げをされてしまうという事を金融庁が前向きに検討していることで、多くの投資家が頭を抱えています。
この報道に対してのマネーパートナーズが金融庁に確認した回答。
1-1.規制はいつから?
レバレッジ10倍はいつから始まるのか気になるところで、まだ確実に決定した訳でもないので、詳しい日にちはまだ分かっていません。
この報道が流れた10月頃は、早くても2018年2月にも規制されると言われていましたが、この記事を書いているのが2018年4月です。
もうその期日は過ぎており、今現在ある情報では「2018年春ごろ」「2018年8月」主にこの2つの情報です。その中の1つの2018年8月に関してはこれまでの50倍規制、25倍規制の際に執行された月が「8月」であったことから「8月」が予想されます。
過去のレバレッジ規制の流れ
2009年4月24日 証券取引等監視委員会が「金融庁設置法第21条の規定に基づく建議について」の文書発表
2009年4月28日~5月29日 金融庁が改正案に対するパブリックコメントを募集
2009年7月31日 パブリックコメント概要とそれに対する金融庁の見解の公開
2009年8月3日 金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(ここでほぼ25倍まで規制が決定)
2010年8月1日 レバレッジ50倍に規制
2011年8月1日 レバレッジ25倍に規制
もし規制されると決まったら、その日からいきなり執行ではなく、金融庁が「内閣府令を出した1年後までにレバレッジを移行させなさい」とFX業者に促すため、その時はFX業者から投資家達へ連絡があり、そのためFX業者ごとにレバレッジの移行が早い業者と遅い業者があります。
以上の事から現状レバレッジの規制と内閣府令がいつ来るのかまだ分かっていませんが、予想は内閣府令の出た1年後と予想します。
2.レバレッジが規制されるとどうなるか
まだレバレッジが規制されていないとはいえ、もし規制されてしまった時に様々な影響があります。ではレバレッジが25倍から10倍になった時どのような事が起きるのか解説していきます。
2-1.取引量の低下
現在、1万通貨で取引するには日本円で「証拠金100万円」必要になります(1ドル=100円時)ですがFXの大きな特徴として、たとえその金額が無くても「レバレッジ」を使えば少ない資金でも大きな金額の取引を行える事が出来ます。
例えば、1万通貨を購入するのにレバレッジ25倍を使えば4万円×25倍(レバレッジ)=100万円となるので「4万円」で1万通貨を購入する事が出来ます。しかし今回の規制で「最大10倍」となれば、4万円×10倍=40万円となり、4000通貨までしか購入する事が出来ません。
1万通貨を購入するためには「最低10万円」必要になります。
今までの倍以上の資金が必要となり、トレーダー達は今までの証拠金よりも単純に倍以上入金して取引を行うか、資金をこれ以上回せないという方は、通貨単位を今よりも落として取引を行うかを選択することになりそうです。
通貨単位を落とすという事は、利益を取れた時が以前に比べると低くなってしまいます。
2-2.短期トレードの利益減少
デイトレードなど短期で利益幅が狭いトレードほど、レバレッジを効かせて通貨サイズを大きくしていかないと利益を多く取る事が出来ません。
先ほど1万通貨を購入するには最低10万円と説明しましたが、これは1ドル100円時の計算で、現在2018年1月~4月現在のドル円変動幅は、「約113円~104円」となっており、多くても「11万3000円」1万通貨を購入するのに必要になってしまいます。
1万通貨以上で取引出来ずに1000通貨単位や、今までの通貨単位を落としてトレードせざるを得ない人達にとっては、利益が今までよりも落ちてしまう事になるでしょう。
2-3. FXトレーダーの減少
レバレッジ規制された後、国内のFX業者が何か対策やキャンペーンなどの対応をしていかなければ、少なからず国内のトレーダー達は海外のFX会社に流れていく事になるでしょう。
今回の規制は日本国内だけのものなので、海外には影響はありません。なぜ、海外のFX会社に流れる事になるのかというと、レバレッジが今でも50倍、何百倍と効かせることが出来るからです。(当サイトでは海外の口座は推奨していません)
後は、その他の金融投資に流れてしまい、その点でも人口が減少していきます。今話題の「仮想通貨」など、FXのレバレッジ規制後に比べたら遥かに小額で取引が出来るので、そちらの方も魅力に感じるでしょう。
2-4.相場の変動幅の減少
レバレッジが規制されFXトレーダーがほかの金融商品などに流れ、人口が減少した場合ドル円相場に影響が出ると思われます。
なぜかというと、現在の世界のFX人口の約50%以上は日本人なので、2017年国内の年間取引高は「4778兆円」で約5000兆円もの取引が行われています。その日本人がレバレッジ規制の影響で資金が約5割減少したとするなら、その分相場の変動幅の減少が予想されます。
規制が執行され、国内の取引量が下がってしまえばその時から相場に変化が起こる可能性は大いにあります。
3.規制に備えてするべき3つの事
今現状では、レバレッジが規制される可能性は極めて高いです、そのために今のうちに出来る事を2つ考えてみました。
3-1.証拠金を追加する
今回の規制理由のひとつとして、トレーダーの「資金管理が出来ていない」といった理由があります。
国内には資金がマイナスにならないよう「ロスッカトシステム」があります。しかし急激な相場の下落でロスカットが追い付かず大きなマイナスになってしまうといった事態が25倍のままだと、陥ってしまう恐れがあるためです。
証拠金ギリギリで、余裕のないトレードや資金すべてをFXに回している方などは、一度確認して25倍~10倍に引き下げられると必要証拠金の金額は倍以上になるので、現在ポジションを持ち続けている方は規制前に「証拠金を追加」しましょう。
3-2.損益を確定させる
ポジションを保有している方は証拠金を増やすことによって維持率を保ち、ロスカットを無くせますが、必要証拠金ギリギリでポジションを持っている方などで、これ以上資金を回せない方は「損益を確定させましょう」
レバレッジを25倍に設定している場合は、10倍規制と同時に必要証拠金が倍以上になり、ポジションを保つ事が出来ないので間違いなくロスカットになります。
3-3.レバレッジ10倍以下のトレードに慣れておく
規制までの間に稼げるだけ稼いでおく。
アクティブなトレーダーの方ならそう考えるでしょうが、そこまで取引に時間を割けられないサラリーマン、主婦の方などは、今のうちに10倍以下の取引に慣れておくべきだと思います。
理由はレバレッジ10倍以下しか掛けられないので今のうちに移行して、「損益の違い」や「金銭感覚」などになれるためです。実は去年「外為どっとコム」がアンケートを取ったところ利用者が一番使用しているレバレッジの1位は「10倍」でした。
利用者の多くは今回の規制発表で移行したと思われますが、まだまだ人数も増えていくはずです。やはり多くの方が今のうちに対策などを行っているというのが分かります。
関連記事:レバレッジ1倍とは?リスクを軽減させるトレードスタイルとそのメリットを徹底解説!
4.規制後どうすべきか
今後いくつかの発表などがあり、規制に向けて動きが「本格化」⇒「執行」の流れになった場合、海外FX業者に流れる投資家達も多く居ると思います。
しかし当サイトでは、海外のFX業者は推奨していません。
海外の業者を否定する訳では無いですが、国内の業者も今回の規制を受けて、利用者の確保など、様々なキャンペーン等を行うはずです。
レバレッジが規制されたからと言って自分の資金が減る事ではないのですから、まずは使い慣れている国内のFX業者で今まで通り取引を行いましょう。
海外のFX、レバレッジなどをまとめた記事もUPしているのでメリットデメリット含めてどうぞ。
FXの最大レバレッジは?国内のレバレッジでトレードすべき本当の理由
5.まとめ
以上が現時点のレバレッジ規制、対策の記事になります。
まだ規制が確定ではない事から、これから色々な情報が出回ると思います。
その中でガセ情報などに惑わされないよう取捨選択をし、情報元はどこなのか、自分自身で調べて見る事も大事です。
紹介した対策などは、あくまでも手段です。
トレード方法や、資金管理などはレバレッジが変わってもすることはほとんど同じで、簡単に言えばレバレッジが下がった分、必要証拠金が多く必要になるのです。規制後の相場の変化に気を付けましょう。