システムトレードとは「決めておいたルールに従ってシステムが自動で売買を行う投資手法」のことです。
システムトレードは利用することで下記のメリットが得られます。
・プロと同じ取引ルールで売買できる
・感情に左右されず売買できる
・睡眠中など売買できない状況でも自動で売買を行える
多くのメリットが得られるシステムトレードですが、FXの知識が少ない初心者の方はシステムトレードに頼ることはおすすめできません。
なぜなら、システムトレードに頼ると、FXの知識が身につかない可能性があるからです。また、FXで長期的に稼ぐことも難しくなるでしょう。
あくまでシステムトレードは売買の補助をするためのものです。
そのため、FX初心者の方はシステムトレードを使用せず、FXの売買に慣れることをおすすめします。
この記事では、システムトレードとは何かを解説し、利用するとどのようなメリット、デメリットが発生するかを紹介します。
ご覧頂くことで、システムトレードとは何かがわかり、利用すべきかどうかが判断できます。
システムトレードは株の売買でも使用されますが、このページではFXでのシステムトレードについて解説をしていきます。
1.システムトレードとは、システムが自動で売買を行う投資手法のこと
システムトレードとは、自分が決めたルールにしたがってシステムが自動で売買を繰り返す投資手法です。
つまり、機械に決めたルール通り売買させることがシステムトレードです。
具体的には、自分が損切りすべきだと考えたタイミングで確実に損切りすることや、利益の伸びが期待できるタイミングで、システムに自動で購入させるといったことが実行できます。
売買を決めるルールは人によって様々です。
たとえば「為替レートが前日の安値よりも下がったら買う」などその人が採用すべきと思ったものをルールとして組み込みます。
1-1.システムトレードと裁量トレードとの違い
システムトレード | 裁量トレード | |
特徴 | システムがルールにしたがって自動で売買する | 自身の判断で手動で売買する |
システムトレードと対比されるのが、売買の判断を自身で行う「裁量トレード」です。
裁量トレードは、自らの知識と経験をもとに売買をするため、経済や為替相場の状況に応じて柔軟な取引ができ、その時々の状況に応じて利益・損失をコントロールできます。
具体的には「先日のテロ事件で円高になる傾向がありそうだから、円を保持しておこう。」といったシステムでは判断することが難しい行動を取ることができます。
しかし、裁量トレードは自分の判断で手動で売買をするため、自分の感情が入り込み、冷静な判断ができず損をしてしまうことがあります。
例えば、「明日には絶対円高になっている!」と根拠のない自信で円を購入した結果、円安になり損をしてしまった。などのような状況です。
このように裁量トレードは、他人の意見や感情に左右されてしまい、損をする可能性があります。
そのため「自動でトレードを行いたい。」という方は、システムトレードを利用することをおすすめします。
逆に、相場や経済の状況に合わせて、損切りしたり、購入を見送るなど「ルールで縛らずトレードを行いたい方」は裁量トレードをおすすめします。
2.システムトレードには2つの種類がある
開発型システムトレード | 選択型システムトレード | |
特徴 | ・自分でプログラミングして開発する
・もしくは市販のプログラムを購入して調達する |
・あらかじめシステムトレードツール内に搭載されているプログラムを選択して、利用する |
メリット | ・自分だけアイデアで売買プログラムを作成できる
・プログラムを入手する場合、中身を変更して利用できる |
・プログラムは無料で利用できる
・FXの知識がなくてもプロの思考と同じように売買できる
・プログラミングの知識が不要
・プログラムのメンテナンスが自動でされる |
デメリット | ・FX、プログラミングの知識が必要
・プログラムのメンテナンスを自分で行う必要がある
・有料商品(数万〜数十万)が多い
・プログラムの信頼性を考える必要がある |
・プログラムを改変することはできない
・FXの知識が身につかない可能性がある |
システムトレードは「開発型システムトレード」と「選択型システムトレード」の2つの種類があります。
2種類の違いは下記の通りです。
・開発型システムトレード
「プログラミングができる人向け」のシステムトレードです。
自分でツールを開発、もしくは市販のプログラムを調達してシステムトレードをします。
・選択型システムトレード
「FX初心者から中級者向け」のシステムトレードです。
あらかじめツールに用意されているプログラムを選択してシステムトレードをします。
それぞれの特徴の詳細を次から解説していきます。
2-1.自分自身で売買プログラムを開発する開発型システムトレード
開発型システムトレードは「プログラミングができる人向け」のシステムトレードです。
プログラミングができる且つ、自分独自のルールでシステムトレードを行いたい場合は、開発型にてシステムトレードを行うことをおすすめします。
自分独自のプログラムの開発することで、既存のシステムでは再現できない自分独自のルールで取引を行えるからです。
ただし、プログラミングの知識やFXで利益を出すための知識が必要になり、市販のプログラムを購入する場合は数万〜数十万円の費用がかかります。
また、自分で組んだプログラムが信頼できるか慎重に確認しないと、意図しない挙動をして大きな損をする可能性があるため注意が必要です。
2-2.用意されている売買プログラムを選んで使用する選択型システムトレード
「選択型」はあらかじめツールに搭載されている売買プログラムを選んで使う、FX初心者から中級者向けのシステムトレードです。
選択型を使うことで、FXの知識に自信がない初心者でも、プロと同じ取引ルールでシステムトレードを行うことができます。
なぜなら、選択型にはトレーダー集団、元外資系ファンドマネージャーなどの「世界中の投資のプロフェッショナル」が作成したプログラムを利用できるものがあるからです。
プログラムを選択するだけなので、プログラミング知識のない方にも安心です。
ただし、用意されているプログラムからしか売買ルールを選ぶことができないため、売買ルールには制限があります。プログラムを改変することもできません。
また、プログラムを選んでシステムに取引を完全に任せることになるため、どうすればFXで利益が取れるか考える機会が少なくなり、FXの知識がつかない可能性があります。
FX初心者の方はシステムトレードに頼りすぎないように注意をしてください。
では次からシステムトレードを利用して得られるメリットをより詳細に説明していきます。
3.システムトレードを利用すると得られる3つメリット
では、システムトレードを利用すると得られる3つのメリットについて説明をしていきます。
3-1.自分の感情を切り離して機械的に売買できる
システムトレードを利用することで、感情に左右されず機械的に売買できます。
なぜなら、システムがあらかじめ設定しておいたタイミングで確実に売買を行うからです。
売買が順調な時は冷静でいられますが、損失が増えていくと冷静な判断ができなくなるのが人間です。
例えば、売却した方が損失を防げると考えられる局面でも、損失が拡大して後に引けない状況になってしまうと、「もう少ししたらおそらく値上がりする!損失を確定させたくない!」という感情になり、どんどん損失が拡大してしまうことが考えられます。
裁量トレードでは上記のようなことは往々にして起こりえますが、システムトレードを利用することで、感情に左右されず、自分が決めたルールにしたがって確実に取引ができるようになります。
3-2.自分の代わりに自動で売買を行ってくれる
システムトレードを利用することで、売買の手間が一切なくなります。
なぜなら、24時間ずっとシステムが市場をチェックして取引を自動で行ってくれるからです。
具体的には、日中サラリーマンの仕事をしていて取引することが難しい場合も、取引をシステムトレードに任せることで、本業の仕事に集中できるようになります。
また、睡眠中などの自分が取引できないタイミングでも確実に売買を実行できるため、売買のタイミングを逃すこともなくなるでしょう。
3-3.FXの知識が少ない人でもプロの取引ルールに従って売買できる
選択型システムトレードを利用することで、FXの知識が少ない人でもプロの取引ルールにしたがって売買できます。
選択型システムトレードに搭載されているプログラムは様々ですが、中にはトレーダー集団、元外資系ファンドマネージャーなどの「世界中の投資のプロフェッショナル」が作成したプログラムを利用できるものもあります。
上記のプログラムを利用することで、FX初心者の方でもプロの取引ルールにしたがって売買することができます。
ただし、FXの知識が少ない初心者の方はシステムトレードに頼ることはおすすめできません。
なぜなら、システムトレードに頼りすぎると、FXの知識が身につかない可能性があるからです。
よって、FXで長期的に稼ぐことも難しくなるでしょう。
システムトレードを利用すると以上のメリットが得られますが、いいことばかりではありません。次からシステムトレードを利用すると発生するデメリットを紹介します。
4.システムトレードを利用すると発生する4つのデメリット
では、システムトレードを利用すると発生する4つのデメリットについて説明をしていきます。
4-1.相場の急変時は正常に機能しないことがある
相場が急変した場合、システムトレードで利用するプログラムが正常に機能しないことがあります。
なぜなら、システムトレードのプログラムは基本的に過去の統計データを元に開発されているからです。
特に世界的な金融危機や紛争が起こった際は、相場が統計データと全く異なる動きをしてルールが通用しなくなるため注意が必要です。
例えば、2015年の1月にFX界を震撼とさせたスイスフランショックでは、20分間でユーロ/スイスフランが41%暴落しています。
スイスフランショックは統計データでは想定ができない大暴落ですので、このような状況下ではプログラムは正常に機能しないことが想定されます。
4-2.長期的に稼げない傾向がある
システムトレードは長期的に稼げない傾向があります。
なぜなら、システムトレードのプログラムは、基本的に過去の統計データを元に開発されているからです。
時が経つにつれて、相場が統計データとは異なる動きをすることは大いに考えられます。
具体的には、1955年〜1973年の高度経済成長の時代、為替レートは1ドル360円程度と超円高でしたが、2000年には1ドル107円程度まで下がっています。
このように時が経つにつれて相場は大きく変化する可能性があります。
したがって、システムトレードは短期的に稼げても、長期的に稼げない傾向があります。
選択型システムトレードのツールは永遠に使用できるとは限らない
選択型のツールは永遠に使用できるとは限りません。
なぜなら、選択型のツールを提供している会社が倒産するとツールは使用できなくなるからです。
ツールに頼って売買を行うのは危険ですので、FXを始める際は、まずは裁量トレードでFXの稼ぎ方を身につけることをおすすめします。
4-3.利用するために費用がかかる
システムトレードは利用するために費用がかかります。
利用するサービスや型によってかかる費用は異なりますが、下記の費用がかかることを把握しておきましょう。
4-3-1.選択型システムトレードを利用すると発生する費用
・売値と買値の差であるスプレッド:約2~4銭
選択型システムトレードでは、スプレッドにツール提供元に支払う手数料が含まれています。
選択型システムトレードのスプレッドは約2~4銭が平均です。
※ 裁量によるスプレッドは0.3~1.0銭程度
4-3-2.開発型システムトレードを利用すると発生する費用
・市販のプログラムを購入する場合はプログラムの代金:無料〜20万円程度
ツール提供元にプログラム購入時に支払う代金です。
代金はプログラムによりけりですが、無料〜20万円程度が一般的です。
・プログラムを動かす仮想サーバー費用:月額1600円程度
プログラムを常時稼働させておくための仮想サーバー費用です。
メモリやCPUによってかかる費用は異なりますが、月額1600円程度かかるとみておけば問題はないでしょう。
4-4.FXの知識が身に付かない可能性がある
システムトレードに頼りすぎると、FXの知識が身につかない可能性があるため注意が必要です。
なぜなら、プログラムを選択するだけで、プロの取引ルールに従って売買できてしまうからです。
特にFXの知識が少ない初心者の方には、システムトレードに頼らないようにしましょう。
FX初心者の方はシステムトレードに頼らず、まず裁量トレードを行い「どうすればFXで利益が上げられるか」を理解することをおすすめします。
あくまでシステムトレードは売買の補助をするためのものです。
システムトレードツールがないと利益を上げられないのであれば、FXの本質を理解できていない証拠です。
最悪な状況として、システムトレードのツールが利用できなくなってしまった場合は、FXで利益を上げられなくなってしまいます。
そのため、FX初心者の方はまずは裁量トレードで利益の出し方を理解し、取引に慣れることをおすすめします。
システムトレードプログラムによる詐欺被害が多いので注意してください!
「初心者でもこのプログラムを使えば必ず儲かる!」などと謡い、高額なシステムトレードのプログラムを購入させる手口が横行しています。
システムトレードにおいて、必ず利益を生むプログラムなどは存在しません。
FXで利益を上げるためには、てっとり早く儲ける近道を探してプログラムに頼るのではなく、自分でコツコツと分析の手法を学んでいくことが大切です。
まとめ
システムトレードとは決めておいたルールに従ってシステムが自動で売買を行う投資手法のことです。
システムトレードは利用することで下記のメリットが得られます。
・プロと同じ取引ルールで売買できる
・感情に左右されず売買できる
・睡眠中など売買できない状況でも自動で売買を行える
多くのメリットが得られるシステムトレードですが、FXの知識が少ない初心者の方はシステムトレードに頼ることはおすすめできません。
なぜなら、システムトレードに頼りすぎると、FXの知識が身につかない可能性があるからです。
そのため、FX初心者の方はまず、システムトレードを使用しない「裁量トレード」で利益の出し方を理解し、取引に慣れることをおすすめします。
FXで利益を上げるためには、てっとり早く儲ける近道を探してプログラムに頼るのではなく、自分でコツコツと分析の手法を学んでいくことが大切です。